和家具の仕事(3)
「和家具」という言葉は、北尾春道著 『和家具』 彰国社刊で知った。 当時は家具というものも漠然と捉えていたし、西洋と区別する意味かと大雑把に考えてもいた。どちらかというと椅子とかテーブルといった洋式の家具が身近に溢れる現 …
山口邸を終わって
1年にわたってご覧頂いた山口邸、如何でしたでしょうか。 家を作るには、ひとつのドラマのようなストーリーがあります。 私たちにとっても、家ごとに刻まれる思い出は、かけがえのないものです。 またブログという発信の試みは、私に …
民家と木の建築
私の仕事を評して、民家だという人がいる。 露わになった小屋組に丸太が組み上げられる。これが民家だという根拠らしい。 かつての民家建築に、丸太が縦横に組まれている姿を重ねていうのだろう。 建築の人でもそう思っている人が少な …
山口邸竣工(4) ユーティリティー~寝室
キッチンから板戸一枚を隔て、洗面、脱衣から浴室が続く。 とかく裏方の水回りだが、住まう上では欠かせない。 人間の生理と密接し、誰しも個の人として開放される場所である。 これらユーティリティーの連携に、坪庭を用いた。 家事 …
山口邸竣工(3) リビング~キッチン~ダイニング
和室から20畳のリビングへと繋がる。 上階まで大きく差し掛けられた吹抜に、登り梁の存在感が空間を彩る。 2間半に掛かる登り梁は、丸太を曲がりなりに八角に落として使う。 もつ強度を損なわずに、造形に反映させるためである。 …
山口邸竣工(2) 玄関~和室
南から入る玄関が欲しい、奥さまの要望から決まった。 格子戸から射し込む光は、一日を通して明るい。 寝室前のデッキに面して西窓も開けられ、明るさももちろんだが、夜分帰る家族の気配も寝室から感じられる。 格子戸を入った正面に …
コストの話 (山口邸竣工にあたって)
10月に完成内覧会を開いて2ヶ月あまり。 ホームページ上で既に写真をご覧頂いたかも知れないが、改めて紹介しよう。 山口邸、木の家の誕生である。 当初から公開する約束のコストだが、最終、66万/坪で納まった。 外構、植裁一 …
新五十鈴茶屋(13)<和家具の仕事ー2>
村山組のキーパーソンに、村山さんが右腕と頼む反中政雄さんがいる。 以前村山さんに依頼したY邸調度の制作から携わってくれ、拙HPに掲載した雪洞行灯の納品に、仙台でお会いしたのが最初だった。 初対面の挨拶そこそこに、 「先生 …
新五十鈴茶屋(12)<和家具の仕事ー1>
今年3月から5月に掛けて、週に2日は現場で村山さんと顔を突き合わせていた。 殺気立ってた、といった方が良いかも知れない。 完成まで時間がない。作った試作を前に、 「ここの太さが違う」 「膨らみの曲線が直ってない」 「図面 …
新五十鈴茶屋計画(11) <中庭 2、だいどころ>
計画が白紙のころから、すでに”だいどころ”はあった。 だいどころの言葉がもつ暖かさ、そこには家族がある。 人の暮らす里の姿を思い描いた。 全体は大きな施設だが、「五十鈴の家」という意識があった。 働く家人にとって、家は家 …