浜千代館 ロビー
木造旅館が建ち並ぶ二見にあって、浜千代館のエントランスは近代的だった。 タイルを張った土間に長い上がり框、紅い絨毯にソファーを置いたロビーが続く。 海に面して展開する大きいエントランスは、さながらホテルの印象を与えていた …
老舗 浜千代館
二見(ふたみ)にある「浜千代館」の改修に携わった。 現当主で4代目を数える老舗旅館で、二見浦の海を眺める景勝の地に建つ。 昨年の正月明けに電話をいただいたのが縁で、改修計画を依頼された。 先代が作られた建物が、海に面して …
実施設計
連休は、いつものことだが仕事をしている。 普段の溜まりにたまった仕事を一気にこなして、世間に追いつこうとする。 世の中が休みだと、電話も掛かってこない、現場に一憂することもない。 仕事をするには、この上なく好都合である。 …
池を作る
木の家T邸の続きを。 建て方も進み、大きな梁も観衆の見守るなか無事納まった。 大黒柱は欅を、この梁には赤松を使った。 柱は80年ものの杉材、木目が詰まった綺麗な木が揃った。 建築を請け負う大山建工は、このたび「第1回あお …
森別邸 細部計画 2.
石巻、森別邸細部計画の続きを。 庭との馴染み良く、建物は南西の矩の手に配置された。 広間の茶室を主体とし、日常使われる部屋などをまとめた迎賓施設の核となる建物である。 <玄関から次の間を見 …
森別邸 細部計画 1.
石巻、森別邸の続きを。 月に2~3の頻度で現場に通っている。 始まったのが昨年の2月頃、早や1年以上通っていることになる。 さすがに広い庭だ、先日やっとのことで樹木の植込みにメドを立てた。 そこで計画にあたって書いたパー …
大工 中里政義
T邸の続きを。 材料の刻みも終わり、いよいよ建て方が始まった。最も緊張する時である。 高さは良かったか、軒の出のバランスは、全体の佇まいは、思考を重ねた設計が現実に迫る。 今さらどうしようもないのだが、この状態を確めるま …
T邸計画について
若い家族が住むT邸だが、改めて計画について紹介しよう。 建築主はまだ20代後半、それでも木の建築を望まれた。 以前、当地で建てた私の住宅を見て気に入ってくれたらしい。 建築に当たって父上からは、手頃な値段でということを強 …
茶の湯の露地 3.
腰掛けを出て、少し右に迂回するように中門へと向かう。 手前に霰こぼしの延段を打ち、ここでは枝折戸が中門の役を担う。 右に迂回したのは、茶室の妻に掛かる扁額を望むためで、そこからゆっくりと回り込むように、茶室へと向かう。 …
茶の湯の露地 2.
亭主の迎付を受け、客は順次、内露地へと進む。 飛石はやがて小さく、打たれた石を追いながら、足の運びに集中する。 期待に背を押され、歩を進める中に次第に神経が研ぎ澄まされていく。 露地は、浮世から清廉な世界へと導く、脱俗の …