模索する日々

仕事の忙しさにかまけ、長らく間が開いてしまった。
年度末の締め切りと新規の仕事の依頼が重なり、瞬く間に時が過ぎた。
どうかご容赦いただきたい。
既に決まっている設計に加え、内容はまた追って紹介するが、石巻で大きな仕事にかかわることになった。

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設計の仕事が重なると、つい思考が片寄るようだ。
ひと区切りに次の仕事に掛かろうとしても、なかなか自分が追いつかない。仕事に合わせた感覚や思考を整えるのに、つい時間が掛かるようになった。
籠もって考える時間が多くなり、いつの間にか日が暮れると初めて時間の感覚が蘇る。そんな日が続いている。
少しずつ自分を変えていきたい。
殻に閉じこもってはいけない、何かで自分の殻を叩き壊してみたい。
このところ、特にそういう欲求にかられている。
設計で考える思考と、それを形にしていく現場での思考とでは明らかに異なる。
突き詰めた考えを、寸分の狂いなく構築することに神経を研ぎ澄ますのが設計とすれば、形を生み出す総合力に神経を投入するのが現場監理であろうか。
言ってみれば孤独な問いかけと、総力を結集する勢いの違いがある。
自らが変わらなければ、問いかける答えが変わろうはずもない。
より多角的な思考回路を持たねば、新たな構築には繋がらない。
深みとか奥行きに展開を期待するあまり、新たな回路の探求がおろそかになってはいないか。自分に甘んじてはいないか。
17日に五十鈴塾で久しぶりの講義がある。
「日本家屋の暮らしと知恵」という題を仰せつかった。
昨日から話をまとめ始めたが、結構難しい内容だと、今更ながら困惑している。
設計の思考から抜け出せないもどかしさが募る。
  (前田)