鎌倉扇ヶ谷の家<竣工3>

リビングの北側テラスは、ご主人の趣味室とも外から出入りができて、このテラスはもっぱらご主人の憩いの場になっているらしい。既存の低い石垣も作り替え、北側の山肌には、好みの植栽を施しながら楽しまれているようだ。引き渡しのころと比べて格段に豊かな緑に包まれていた。

<リビングに続く北側テラス>

リビングの奥にキッチンが座る。南に向かって広がる敷地に沿って、ダイニングキッチンを斜行して接続したが、斜行させることで生まれた余剰空間を生かしてリビング階段を掛けた。段板だけの階段として視線を透かし、スチールの軽やかな手摺が2階の廊下まで続く。2階の廊下は吹抜を巡る回廊になり、幅を持たせて広々と家族共有の空間に溶け込ませた。

<視線が通るリビング階段>

リビング北側の天井面にプロジェクターを取り付け、南側窓の上部に電動スクリーンが下げられるようにしている。時にはこのリビングが映写室になり、リビングと吹抜を巡る2階の回廊が観客席となる。

<2階回廊>

軽やかな階段は、緩やかにキッチンとリビングの空間を分け、静かに視線を通わせる。キッチンに立てば家中が見渡せる格好の場所である。キッチンはアイランド型が奥様の希望で、東側の壁面は一面のバックキャビネットとして多様な収納に充てた。

<キッチンからダイニングを見る>

キッチンには食品庫を併設して利便性に配慮し、多様な収納に関しては奥様の考えで纏めた。特にアイランドキッチンは奥様がこだわられたところで、キッチンでの簡便な食事の場面や、大勢のパーティー時にはダイニングのテーブルと合わせて使えるよう、折り畳みテーブルをキッチン側面に取り付けたりと、キッチンを中心とした多彩な使い勝手を網羅すべく作り込んでいる。

つづく(前田)