以前紹介した青森県三沢市に建つ、数寄屋の建て方が始まった。
敷地が1500坪強ある中に、平屋建てで延べ面積が200坪ともなる建築を作る。図面ではわかっていても、これほど大きいものかと改めて実感している。
<東側より建て方を始めたところ>
木材集めから木作り、原寸引き、刻み加工と、すでに一年近くを費やしてきた。架構を構成する木材だけでも相当な量で、柱などには地の杉材を充て、梁や桁には地元の赤松を用いた。昨年今年と、2回の冬の時期に大径木を伐採して調達に充て、杢目を吟味しながら木取りを行った。
青森県はその点、豊富な木材量が今でもあり、思ったより良材が揃ったことはありがたかった。この地域で仕事をしだして20年あまりが経つが、それでも私が来た当時より、かなり材料の数量も少なくなっていると聞いた。
<西玄関付近より望むところ>
雪深いところとあって、中央に融雪を兼ねた池を設け、それを囲むように建物が建つ。
建物の大きさでも50m×30mとなり、土台敷きでかなり誤差が生じるのではと案じていたが、見事に寸法通りに納まり、大工の技量の確かさに目を見張った。
まずは、架構の木組みが簡便な東側から建て始め、これから西へと伸ばしていく。
数寄屋となると、軒先のラインを極力低く納め、水平にどこまでものびやかに広がっていく造形を主眼としつつも、内部では、部屋ごとに豊かな空間を創出するため、その矛盾を木組みで解消していかねばならない。
これからの架構の木組みが待たれるところだ。
<建物中央から全体を望む>
恐らく、建て方だけでも3か月は掛かるものと思われ、いよいよ足しげく通う日が続くだろう。
庭の構想も進めており、植樹についてもかなり良いものが揃うようだ。
2年後の完成に向け、携わる全員が気を吐いている。
追って工程を紹介していこう。
(前田)