かまぼこの里<千世倭楼改修 1>

コロナもだいぶ納まってきて、人出も徐々に戻りつつあるようだ。
昨年は耐えられたが、今年の状況はさらに酷いという言葉を至るところで聞く。
人と会えない状況は、思ったより過酷なもので、社会を成り立たせている根本なのだということを改めて実感している。
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             <改修した千世倭楼正面>
小田原の風祭で展開するかまぼこの里。
ここは鈴廣かまぼこの拠点であり、多くの人に認識されているところと思う。毎年の箱根駅伝では、この場所が往路復路ともに小田原中継所としての役割を担っていることから、テレビ中継を通して馴染みの方も多くおられるだろう。
何より、鈴廣かまぼこは多くの人から愛され、かまぼこ業界の第一人者としての格式を保つ老舗である。
鈴廣から招へいされたのが、今から5年ほど前になるだろうか。今まで展開されてきた店舗や百貨店の売り場、さらにはこのかまぼこの里の将来にわたり、建築の立場で参加させていただいて、これまで多くの議論を重ねてきた。
創業150年の老舗にふさわしく、経営陣から従業員の一人ひとりまで、とても礼儀正しく洗練されている。教えというのはこうして引き継がれていくのかと、私も常に襟を正されている。
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              <千世倭楼、主庭>
鈴廣は、もともとは小田原市内の幸町(現在は本町)で創業されたが、現在の会長がこの地を求めて移転してから大きく発展した。国道一号線に面した両側の土地を存分に使い、多くの人たちを迎え、一大拠点を構成している。
中でも、今回の改修を行った「千世倭楼」は里のシンボル的な建物であり、周囲に植えられた樹木とともに古刹の趣を湛えている。
この建物は、秋田県旧平鹿郡大森町(現在の横手市)から移築したもので、当時全国屈指の山林王だった菊池家の旧住宅として作られた。秋田地方きっての職人技の粋を集めた巧みな造りの建物は、完成まで20年有余年かかったといわれている。
その豪壮な建物を活かしつつ、商いに繋げていくよう今回の改修の依頼を戴いた。追って詳述していこうと思う。
(つづく)
  (前田)