先日、青森に建つ家の実施設計を納品した。
昨年に依頼を受け、これまで施主夫妻と打ち合わせを重ねてきた。
熱心な夫妻との話はとても楽しく、さまざまな角度から討議を積み重ねて基本設計をまとめてきた。
<前面道路より建物を望む>
市街地に建つ住宅で、敷地は東西に長い。東に道路がつき、敷地西側には両親が住む木造住宅が建つ。既存の家を活かし、道路側に若夫婦家族の家を建てたいとの要望だった。
市街地でまとまった土地を有しており、南面して広く展開できることは幸いだった。既存家屋との接続も視野に入れながらの設計だったこともあり、この環境を最大限に生かして整えることが期待に応えることと設計に望んだ。
市街地とあって準防火地域のため、窓に延焼ラインが掛かるとサッシの有効寸法が大きく取れない。また既存家屋との接続を考えると、動線計画上も制約が大きく、また将来的に既存家屋の修繕に対する工事動線も確保しなければと、与条件を整理するのに手間取った。
<南庭より建物を望む>
施主はまだ30代の若さながら、住宅に対する考え方やそこでの生活にしっかりした視点を持っておられた。恐らくそうした造詣の深さがあったからこそ、こちらも提案をはばかることなくできたのだと思う。
詳しくはまた随時紹介していこうと思う。
長い年月住まうことを見越しながら家を建てることは大切だが、いまこの瞬間を謳歌して家を楽しまないと魅力は育たない。そうした暮らしの魅力を創出するのが家であり、家族の歴史の背景は、その魅力から生まれるのだと信じている。
(前田)