以前紹介した青森県三沢市に建つ数寄屋住宅がいよいよ始まった。
500㎡を超えるため、平屋ながらも構造計算が必要で、鋭意奮闘してもらって着工にこぎつけた。
竣工まで3年がかりとなる。
<曲がり梁の木作り>
施主は以前からこうした住まいを建てたいと思っていたそうで、随分前に話を戴いていた。基本設計を書きながらもさまざまにやり取りを繰り返し、平面的にも意匠的にも納得いけるものができたと思う。
建物が200坪とあって、材料集めが大変な難題である。施主の持つ山からも木を伐りだす算段ながら、とてもそれだけでは間に合わない。昨冬の間に了解を得て伐りだし始めたものの、まだ1割ちょっとである。
<刻みの様子>
こうした曲がりをもつ梁も必要で、この程度の曲がり梁だけでも50本はくだらない。
外観からも、極力屋根の軒先高さを抑え、それでいながら内部空間は芳醇な空間をと思うと、こうした曲がった梁がどうしても求められる。以前からそうだが、最近では特にこうした曲がり木は見つけられない。
直材の方が材料単価もよく、曲がり木は早々に間伐されてしまうからでもある。
<部分的な手板>
屋根には起り(むくり)といって、少し膨らませて柔らかな表情を作るのだが、こうして長い建物だと、その軒先をどう合わせ、またどのようにかぶせていくかといった微妙な表現が難しい。
既に正月以降、随時大工たちと原寸に取り掛かり、ようやくすべての屋根と軒先について纏めたばかり、それを受けて先日は破風の原寸も書き上げ、それに伴って木作りが始まった。
まだまだこれからだが、楽しみな住まいである。
追って紹介していきたい。
(前田)