鎌倉の閑静な住宅街に建築中の、扇ヶ谷の家がまもなく竣工する。
コロナ禍で、現場に行ける回数も限られていたが、順調に工事も進みホッとしている。背景の山も、梅雨入りと同時に緑も濃くなり、夏を思わせる香りが立ち上っていた。
<前面道路よりの外観>
現在は建築自体の工事は終わり、外構工事と植栽が佳境である。
役所の完了検査も無事に終わり、後は完成を待つばかりとなった。既存の電柱が入口前にあって、それを移設するため東京電力と掛け合っていたが、やはりコロナ禍でなかなか現場対応に応じてくれず、これも時勢のことと矛を収める以外になかった。
施主の家具も次第に入り始め、待ったなしの状況となった。
<リビングからダイニングキッチンを見る>
木の建築を標榜された施主に応えるように、大きな空間をなるべく柱を少なくして、木組みを駆使して構造を整えた。
柱や造作材は杉の大径木から取り、梁組は赤松材をなるべく断面欠損させずに木作りして臨んだ。上棟から子細に見ているが、木の狂いも少なく干割れも少なかった。
施主の意匠へのこだわりも強く、照明から洗面ボウル、建具の引手までもご自身たで選ばれた。現場もそれに応えて一つずつ確認を取りながら進められた。
<キッチンからリビングを見る>
外壁の色と、玄関から外構に至る壁面の素材の選定にはずいぶん時間がかかったが、結果的に納得いくものに仕上がったようである。塀はまだ上部の意匠が残っていて、アプローチの床石もこれから、同時に植栽が始まるのだが、およそ月内で完成するだろう。
当初話を戴いたときから長らく時間がかかったが、この土地のもつ魅力を上手く掬い取ることができたのか、竣工なった建物を見させていただきながら確かめたいと思っている。
(前田)