幾分秋めいてきて、外に出かけやすくなってきた。
現場が動いていると出ざるを得ないが、熱いさなかのマスクには辟易している。
それでもまだ新幹線も飛行機も空席ばかりで、このままで良いのかと心配になってくる。
<表門を見る>
実施設計を上げて一年がたつ三沢の数寄屋が、昨日ようやく施主のGOが出た。
青森の三沢に建つ数寄屋の住宅で、構想から3年を経た。寒冷地とあって、どれだけのことができるのか悩んだが、2世帯の家族が住む家として、また念願のお家とあって自ずと力が入った。
200坪の邸宅で周囲を庭が囲む。庭も建物と同時に作らねばならないが、この土地ならではの開放的な庭を作りたい。
これまで幾度となく施主を交えて話してきたが、建築を通してその人自身と触れ合えるのは、とても有意義で楽しい。期待に応えられるよう、気を引き締めて臨みたい。
<南庭より建物全体を望む>
以前にも書いたが、青森から岩手にかけての山々は、とても森林資源に恵まれている。
というのも樹種が豊富にあり、こうした木の建築を作る上では格好の木材が容易に手に入る。青森といえばヒバを思われる方も多いが、ヒバは今となると貴重で、なかなか手に入りにくい。しかし、杉、赤松、栗、ケヤキといった材が、山にはまだ豊富にあって、ナラやタモといった家具材なども手に入りやすい。しかも大径木で使えるため、自在に木目を選んで挽くことができる。
まさに宝の山である。
<中庭の池を見る>
建つ家を、こうして地元の木々を使って作れることの妙味は、何ものにも代えがたく、うらやましい限りである。
早速、材料の手配を始めてもらい、この11月から3月までの間で、およその材を調達したい。
今のところ3年の工期を見込んでいるが、大工たちとともに試行錯誤を重ねていく喜びをかみしめている。
また経過は追って紹介したい。
<リビングから南庭を見る>
(前田)