今年は夏が来たのが遅かったが、暑さが厳しく感じる。
カエルも蝉も、虫自体が少ないのではと友人が言っていたがそう思う。
異常気象といわれて久しいが、環境もだいぶ変わっている気がする。
<赤福内宮前支店>
おはらい町で2軒同時に進行している。
同じ時期に工事が始まるのも珍しいことだが、この時勢のことでやむを得ない。ひとつは内宮にほど近い場所に建つ、赤福内宮前支店の建て替えである。築70年だった以前の建物の老朽化に伴い、早い段階で図面はできていたが、着工の時期をうかがっていた。
このコロナ禍にあって、来客が少ないこの時期だからとの決断だった。
観光で成り立つ地域だけに、相当な覚悟だったのではと察しているが、さすが老舗としての矜持を感じた。
<とある珈琲店>
もうひとつは全国で展開する珈琲店である。
小さい建物ながら、おはらい町だからこそできる可能性を模索してみた。五十鈴川沿いの建物はこれまでにも数件建ててきたが、通りの西側で建てることはこれで2軒目である。
おはらい町は、五十鈴川と西側の山に囲まれた場所であり、この山を見渡せるのも魅力の一つである。以前建てた住宅でその景色を取り込んでみたが、この地らしい眺望が得られたことがある。
今回も、それをもっとダイナミックに取り込めたらと願っている。
伊勢のこの界隈は観光で成り立つ地域だけに相当の打撃がある。
閑散としたおはらい町の風情には、寂しさが拭えない。
かくいう私もテレワークにはだいぶ慣れたが、建築はやはり直に会って話さないと進められないこともあり、各地に出向いて打ち合わせすることも多い。それでもできる限りの予防と対策を講じて、会う人へ誠意あるマナーに努めている。
肩を叩いて気持ちを伝えることこそできないが、精いっぱいの気持ちを伝えられるよう、自身を督励していくつもりである。
(前田)