玄関から格子戸を開けるとリビングになる。
家族がいつも一緒にいられるようにとのことから、大きな一室空間とした。
当初の要望からも、木組みのしっかりした架構を念頭に構築した。
南面する窓からは陽射しがまんべんなく注ぐ。
<格子戸を開けてリビングに入る>
施主はこれまで、私の設計した建物を数多く見ていただいており、その上で依頼をいただいた。その意味では、当初から具体的な空間の夢も持っておられ、最初にお会いした時からその話を聞かせていただいていた。
またペットと一緒に暮らしたいとの要望もあって、それを具体的にどのように馴染ませるかも鍵となった。
そこでリビングを大きな片流れの屋根で構成し、キッチン、ダイニングを一室にまとめながらも、エリアで各々を分けて無理なく接続している。またペットの部屋を、リビングに居ながらにして常に目が届くような、そんな情景を思い描きながら計画を行った。
<リビングを望む>
ペットの部屋は高さが必要ではないため、階段下ではどうかと思った。通常の階段ではスペースが狭いので、折り返しの階段として、その踊り場下を充て、屋根の架構を支える大黒柱を添えることで、視覚的な拠りどころを与えながら纏めてみた。
架構は現地に植生する赤松を用い、断面欠損を少なく用いるために八角に落とした登り梁とした。またペットの部屋の硝子は取り外しができるようになっている。
その意味でも、この階段は家の中心であり意匠的にも意を払った。
<階段と階段下のペット部屋>
遊びに来る子供たちが、ここを面白がって入り込むらしい。
私もペットと暮らす家は初めての経験だったが、微笑ましくお聞きした。
(前田)