南部の家<外構>

庭のハナミズキも開花を迎え、春爛漫となった。
仕事に追われる身でありながらも、花を見るとやはり心安らぐ。
手の届くところで咲く花は、一層可憐さをますようで、徐々に花の白さが鮮明に浮かび上がってきた。

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                    <南側外観>
南部の家も漸く竣工を迎えようとしている。
着工してから早や4年が経ち、月日の早さに改めて驚かされている。
現在、外構の最後の仕上げを行っている。表門と中門も建て方を終え、塀もあらかた張り終えた。残すは屋根の瓦と、ヒンジの到着を待って門扉をつけ、門の周りの庭を調えて竣工となる。
東北はこれからが桜のピークだが、桜が散ると同時に新緑が追いかけ、ちょうどその頃に仕上がるか。

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                   <工事中の表門>
表門のアプローチは千葉W別邸の、施主の好意で戴いた吉野の茶利石を畳み、門の中は御影石のピンコロを敷き詰めた。雪が積もるため、石の目地に散水設備を設け、中門前の小さな水路に集水する。水路は池の水のオーバーフローで賄い、雪国対策とした。
庭も考えたように仕上がりつつあって、私も肩の荷が下りたようだ。

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                     <中門周り>
こうした門は、客を迎える何よりの室礼であり、これから多くの人がこの門を潜ることだろう。扉の鏡板も美しい一枚板が手に入った。表門は車が潜るため、一枚の扉の幅が4.5尺ほどある。2枚割りでもやむを得ないと思ったが、岩手の競りで巨木が出て、最後まで買い手が現れなかったものを値頃で落とすことが出来た。恐らく樹齢300年は下らない代物で、その杢目の綺麗さは見事というより他はない。

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                  <苑路から滝口を望む>
もう一息で完成という、この瞬間がたまらなく好きだ。
実は、このひと月の間に引き渡しが4件も重なり、私としては珍しいことなのだが、この楽しみと同時に手放れする寂しさも感じている。
また改めて、竣工時に紹介したい。
  (前田)