茅葺きの家<造作>

今日から八月に入ったが、毎日酷暑が続いている。
ようやく出張も峠を越え、今朝から机に向かいだした。
庭木の葉がよく落ちるのは、梅雨明けから急に暑くなったせいか。
蝉の鳴き声も、今年はあまり聞かない。

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                  <茅葺きの全貌>
茅も梅雨入り直前に葺き終わり、引き続き大工が造作に入った。それから既に二ヶ月も過ぎ、造作もあらかた完了である。
屋根勾配がきついため、棟までとなると随分高いが、上から掃除をしつつ内部の足場を解体していく。自然素材のせいだろうか、至るところに蜂の巣や虫がいて、梅雨の寒い時期に茅に隠れていたのか、今になって姿を現してくる。
葺き上がりは、まるで黄金色のようだったが、次第に茅も落ち着いた色を見せ、屋根面全体も浮き足だった感じがしなくなった。

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                 <大黒柱と小屋梁>
写真では分からないが、対岸の山や川を望むため、開口を大きく高く採ったせいか、内部はかなり明るい。通常の茅葺きは軒が深いこともあって、内部は真っ暗で、小屋裏が見えるほどの明るさはほとんどない。
それが窓の加減で、こうも明るくなるものかと見違えた。
設計では、みせを周辺の田畑のレベルに合わせ、川側を一段上げて大きく開放し、座敷を中二階として繋いでいる。そのため複雑な架構となったのだが、それがよく見える。梁組は大工が苦心しただけに、大いに思うところとなった。

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               <上ー恵比寿、下ー大黒>
梶川さんに焼いて貰った鬼も載り、後は左官の仕上げを待つばかりとなった。外構も細々と進めているが、予算もあらかた尽き、思うような仕上がりとはほど遠い。
何とか数年後の成長を以て佇まいが作れるよう、庭師とも話を詰めてきた。
次回の打ち合わせで、最終の引き渡し工程を決め、仕上げの佳境に入る。
(前田)