ふたつの計画

早くも梅雨に入り、これから鬱陶しい日が始まる。
それでも今年は湿気が少ないようで、今のところは過ごしやすい。
先日まで出張が重なり、これが続くと、夜が寝られないのが辛い。

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               <ふたつの計画の下書き>
そのような中、懸案のふたつの計画を日曜から缶詰になって纏めた。
これまでの打ち合わせで、建築の根幹は共有できてはいるのだが、最後の纏めは大きな山場だ。かねてから頭では考えていたのだが、紙に書いてみると思ったようにはいかず、昨日の昼まではかなり煮詰まっていた。何とも狂おしい時間なのだが、どうにも抜けられないトンネルに、自分で嵌っていく。
どの仕事も、そう簡単に解が得られるものではないが、月並みにいえば、産みの苦しみとでもいおうか。
それが、ふとしたきっかけで成案にたどり着き、昨夕から寝ずに一気に仕上げた。まだ、そんな体力があったのかと思うほどで、併せて20枚ほどを書いた。
とはいえ、まだ下書きの段階だが、これまでの考えが消化されたようで、些か安堵している。
平面を考えながら断面を、立面を考え、それをスケッチに起こしながら平行して纏めていく。鉛筆と消しゴムで書き進めるのだが、どちらかといえば消しゴムを使う方が多い。書いては消し、消しては書くの連続で、そこに残る線に思いを込めていく。
格好良く言えばそういうことなのだが、その最中の自分の姿は誰にも見られたくない、というのが本心である。
今日は懇意にしている若手建築家と、夕方から約束したのが良かったのかも知れない。少し心を開放して呑めそうだ。
明日から図面に仕立て、施主へのプレゼンに望む。
茅葺きの家も、梅雨を前に茅が葺き終わって、これから仕上げに掛かる。串本の町家も、岩盤で苦労した地下の浄化槽が明日完了し、いよいよ建て方に向けて動き出す。
南部の家も、建築はあらかた仕上がり、庭の流れと池に移った。盛岡も建て方が始まり、月末には上棟を迎える。
伊勢のおはらい町も、工事に着手したとあって、各所の現場もこの夏が正念場である。
今年も早いもので、折り返し地点に来た。
いい建築に仕上げるべく、改めて奮起して望みたい。
  (前田)