南部の家、盛岡増築

大寒を迎え、庭に霜柱が立つ日が多くなった。
現場への出張を挟みながら、今は実施設計に余念なく取り組んでいる。
3月に埼玉建築士会から講師を頼まれ、何か気の利いた話をと考えるものの、やはり自分のしてきたことしか話せないかと、半ばあきらめかけている。

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              <南部の家 リビングの小屋>
南部の家も、造作が本格化してきて先日見に行ってきた。
設計と違うサッシが入って少々の手直しを指示してきたが、概ね思ったように進んでいる。屋根もあらかた葺き上がり、起りと箕甲のラインが原寸通り、きれいに納まっていた。
瓦葺きとあって、破風も若干幅を持たせたが、頃合いの形になったようだ。
リビングの小屋は化粧で現し、長尺ものの赤松とケヤキの梁が縦横に組み合わされる。それぞれ八角に削って仕上げているが、太さが程良かったせいか、全体のバランスがいい。
それら梁組を支える大黒柱はケヤキを立て、この柱がキッチンとリビングの要となって空間を引き締める。

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                <大黒柱に梁が取り付く>
良材ばかりを選ったつもりはないが、この柱も梁もいい材料で揃えられたのはやはり嬉しい。
庭木についても、主体となるものの入手に目処が立ち、春を待って取り掛かるつもりだ。夏までには大まかな形が見せられるよう、督励していこうと思う。

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                <盛岡K邸 音楽室模型>
盛岡K邸の増築が始まる。
以前建てた住居部分の北側に、新たに地続きで土地を購入され、そこに子供たちとの音楽室を作りたいという。昨年初頭に相談を受けて図面に落としたが、特徴を持たせた音楽室とすることで、住宅との共存を図りたいと思った。
工事に先立ち、大工が理解しやすいようにと模型を作った。
斜梁を入れて屋根を分割し、切っ先鋭い突端と折った屋根のコントラストで、既存の切妻屋根に添わせてみた。建物間の中庭は音楽室と連動する、使う庭として整えたい。
暖は薪ストーブを採り、既存のリビングとはひと味違う吹抜空間が広がる。
家族が集う、もうひとつのよりどころとなれば嬉しい。
雪解けと同時に基礎に入り、夏前の竣工を目指す。

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  (前田)