南部の家<始動>

少し余裕があった夏を後目に、秋とともに追われる毎日を過ごしている。
計画の詰めや実施設計で一杯の頭を抱え、合間を縫って出張に出る。
東北の紅葉も今が旬で、車窓から眺める山の色づきに、暫し見とれていた。
秋の日は束の間で、つぎ行く頃は冬景色へと変わっているのだろう。

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                    <南部の家 上棟>
以前紹介した南部の家が始まった。
材料集めに時間が掛かったが、長ものの梁などの良材も揃い、大工も気を吐いて仕事に掛かっている。9月初旬に上棟を迎えたが、いまは屋根の野地も終わり、瓦を葺き出している。
東西に長い400坪ほどの敷地に、雁行するように建物を配した。
庭の池を眺めて暮らすのが若い頃からの夢という施主の気持ちを汲み、各室から眺める庭を意識しながら全体を整えた。
東西の長さを生かすことで、主室全てを南面させることができ、各部屋が重なることもないため、日照に加え風通しも良いことだろう。
庭も一体として考えていることから、先日庭師を交えての打ち合わせも行った。
建築の工期に合わせて乗り込み、進捗を同じくして完成に導くよう依頼した。
雪が降る前に大まかな樹木の選定を行い、雪解けを待って高木類の植樹、池、滝口、流れの造作に掛かっていく。
各室から見る視点と、庭としての整合性を考えながら作っていくこととなるが、規模的にもちょうど手頃な広さだったかと、先日の現場を見て思った。
加えて、付随する外周の塀や門もあるため、まだ先は長い。
平屋の建築は、流れる屋根の姿もひとつの魅力で、周囲の庭との取り合いを踏まえ、いかに生き生きと作れるかが見どころでもある。
現場は図面通りに動いているが、そんなことを考えながら現場を巡ってきた。
  (前田)