仙台S邸(構造)

連休も仕事漬けに、漸く懸案の実施設計を書き上げた。
電話やメールも滅多に来ないこの時期に、例年仕事の大詰めを迎えるよう、予定を組むようになって随分と経つ。
連休前に書き上げるつもりだったが、衰える体力と集中力にはかなわない。

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            <和室からリビングにかけての登り梁>
そのようなことで現場が滞ったため、連休明けから動いている。
仙台のS邸も屋根が終わって外壁張りに取りかかり、少しずつ内部の造作も熱を帯びてきた。
仙台の北部、泉中央に位置する現地は今年も雪が多く、仙台市内よりも確実に寒い。夫婦二人の終の棲家となる家で、設計依頼を受けてからでも既に3年が経つ。
基本設計に時間をかけたこともあったが、材料の調達に、中いち年をかけた。
赤松をよく使うのだが、10年前は幾らでも手に入ったが、今では先を見越して手配しないと良材は得られない。それだけ需要が多くなっているのだろう。
聞くところでは、関西方面からの買い付けが多く、年々高値で取り引きされているという。そのため、早くから手配をかけ、徐々に集めながら乾燥を待った。
施主は待たされたことで随分不安もあったろうが、上棟時に組み上がった梁を見て、大いに納得されたようだ。木の肌が美しく、割れもそれほど入らずに納めることが出来た。
構造が意匠として見える形だけに、大工は神経を使わざるを得ない。
登り梁を組むのも、受け梁とのかみ合わせや横ホゾの具合を慎重に見極め、組み上げて行かねばならない。
勾配天井に張った杉も、白太だけを峻別して貰ったせいか、色味が揃うことで杢目が引き立ち、とても美しい張り具合になった。

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               <和室からリビングにかけて>
これからが現場の追い込みだが、決めることもあらかた決まった。
棟梁はじめ、現場の大工たちも気を吐いて取り組んでいる。
現場を訪れる人たちにも好評らしく、若い棟梁だが上気して話していた。
こうして誇りは培われていくのだろう。
  (前田)