千葉W別邸<完成間際>

やっと春らしい季節になった。
今年の雪では私も被害を被ったが、暖かな日差しはそれを忘れさせてくれる。
懸案だった串本の実施設計を書き上げ、今は少し息をついたところ。
これからもうひとつに取り組むのだが、この間隙を縫って現場を回っている。

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               <アプローチから玄関を見る>
千葉の現場も漸く完成間際となり、現在、表門や腰掛けに取り掛かっている。
庭とともに仕上げに掛かっているが、漸く八割方といったところだろうか。
既にある庭を痛めぬよう、建物を配置していったのだが、点在する庭の景色と、各部屋からの視線の間合いを図りながら、プランに整合性をつけるのには腐心した。
完成時に改めて紹介するが、建物各所から伺う景色も思ったように取り込め、建具が入りつつある室内から見ても、うまく景色を切り取れたようだ。

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                <西庭からの玄関見返し>
表門の位置も随分協議を重ね、関係各位の納得を得て決めたおかげで、庭との取り付きもスムーズに納まった。表門の前には、巨大な鞍馬石が据えられ、この庭を象徴する景色が整いつつある。
腰掛けの建ち処は庭師に委ねたが、庭を歩く上でも、建物から見る点景としても、格好の場所になったようだ。こうしたものがあって、初めて庭にも奥行きが生まれ、空間が豊かに展開する。
各所庭園灯の位置や、裏門の取り付き、露地口の周りなど、決めるべきことも定まった。これからの暫くが完成度を決める重要な時期とあって、携わる職人も一様に緊張感を漲らせていた。

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                  <表門の作業風景>
長い時間をかけてきた計画も、そろそろ全体の姿を現そうとしいる。
家具についても、施主の意向で主体のものはデザインさせて貰った。
こちらの工程も急を要するのだが、周りの職人や関係者に助けられて、今の時期を迎えられたのは喜びに値することだろう。
もうひと息というこの瞬間は、いつも胸騒ぎとくすぐったさを感じる不思議な時期でもある。
  (前田)