住宅の実施設計(2題)

昨日、東北を一巡して戻ってきた。
長らく更新が滞っていたが、このひと月はとくに忙しかった。
既に大暑も過ぎて残暑となったが、今年の暑さも半端じゃない。
それでも体重を落としたせいか、気持ちも身体も軽く、仕事に乗れてるようだ。

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                <南部の家ーリビング>
7月から掛かって、立て続けに2件の実施設計を挙げた。
こうして重なるのも希なのだが、一気呵成に事務所に籠もって書いた。
相変わらず私は手書きなのだが、老眼がひどくなって眼鏡が手放せない。これが暑い折りは不便で、ひどく神経に障る。
うち1件は、以前紹介した南部の家で、思いの外、時間が掛かった。
敷地が細長いこともあって、建物を雁行させ、主室を全て南面させている。門や塀の意匠も託され、庭を含む全体構想からかかわることとなった。
一昨日納品してきたが、現地の整地もほぼ完了し、乗入れの側溝も工事が終わっていた。
実施図を書くにあたって、基本設計に沿って縄張りをしてみた。さほど狂いなく、思った通りに納まり、周囲との取り合いも問題なさそうだ。表門から中門、建物南面には池を作り、庭園とともに仕上げていく。
基本設計に時間を掛けたせいか、施主も考えをよく理解してくれ、意志疎通を充分図った上で工事に進めることは、建物にとっても幸せなことだろう。

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            <伊勢の町家ー”いま”から坪庭を見る>
もう1件は、伊勢の街中に建つ町家である。
間口2間半に奥行き20mというウナギの寝床で、古い町特有の敷地に建つ。
周囲を繁華街に囲まれ、近隣は高い建物が連なっている。
そのため、建物両脇からの採光は期待できず、壷中の天よろしく坪庭を設けて、ここを採光のよりどころとしている。風や光は自然そのもので、どのように狭小な場所であっても、それを取り入れて初めて生活が豊かになると信じている。その点では、人間も自然界の一部なのだ。
6畳ほどの広さの坪庭だが、風や光を受け止め、周りの喧噪をよそに、静かな佇まいを空間に及ぼしてくれることを期待している。
建坪40坪に満たない小住宅だが、些か面白くできるのではと期待している。
明日は千葉の現場で、盆明けの上棟を目指して建て方の状況を確認してくる。
これで盆に入るが案の定、休みは取れそうもない。
新たな依頼に応え、進行中の計画を練り、今秋から始まる大きなプロジェクトの準備にと、既にやることが手一杯か。
  (前田)