今日から静かに始動しようと机に向かった。
昨夜の痛飲も漸く抜け、清々しく新年を迎えた。
今年もさまざまなプロジェクトが控えており、昨年の課題も克服せねばならない。
筆硯も新たに望もうと思う。
<上棟曳き綱の儀>
おかげ横丁北口棟も、昨年暮れに上棟を迎えた。
槌音高く現場に響くなか、関係各位列席のもと式典が行われた。
建物中央の階段が掛かる吹抜は、5間×3間半の無柱空間で、梁を縦横に掛けて架構を作っている。何段かに梁を組む複雑な構成を書いたが、思うように納まりがついた。
棟梁の堤さんも、組むまでは慎重な姿勢を崩さなかったが、ここに来て漸く安堵の表情に戻った。登り梁の曲がりは相当吟味したようで、材料が入った時点で私も見たが、墨を打っても曲がりが足りずと両三度入れ替えている。
その甲斐あってか無事に取り付き、脇棟梁の田畑さんも笑顔を見せていた。
暫くは屋根仕舞に掛かるが、打ち合わせは既に完成後の室礼にまで及び、暮れには家具のプレゼンも行われて基本となる骨格も共有できた。
細部の造作寸法はもとより、行灯や照明の意匠など、これから詰める要素も多いが、まずは建ちが想像通りのバランスとなって胸をなで下ろしている。
年頭取り急ぎ鬼瓦の意匠を決めねばならないが、これは楽しみの部類だろう。
<組まれた丸太>
2階の座敷に掛かる丸太のなぐり目が、些か大きかったのが気になりだしていて、このあたりから現場との打ち合わせを始めたい。
緩む帯を締め直し、自分に厳しい仕事を全うしようと思う。
本年も変わらぬご叱正をとお願い申し上げ、仕事始めとしたい。
(前田)