弘前K邸、ほか近況

すでに11月も中旬に差し掛かり、庭のハナミズキも紅くなった。
秋の季節は一瞬で、急流を下るように姿を変えていく。
先日の八甲田も紅葉は見頃を過ぎ、伊勢はやっとほのかに色づきだした。
振り返っても、このひと月は多忙を極めた。

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                 <弘前K邸北側外観>
実施設計が続いている。
仙台の住宅に続き、このひと月で弘前を仕上げ、先日納品した。
依頼があって初めてお会いしたとき、私の設計した建物の写真をいつも眺めていると明かされ、すぐに打ち解けてしまった。また、その場で盛岡K邸ご主人の知己だと知り、改めて世間の狭さに驚いた。
伺ったのが2月下旬、初めての弘前だったが、積雪の多さに圧倒された。それでも青森市内よりは少ないらしいが、1mは軽く超えていた。
雪国の苦悩は、住んでみねばわかるまい。
ここも川沿いの立地で、遠景の山並みが澄んだ冬の空に綺麗に映っていた。
以来、さまざまに対話を重ね、紆余曲折もあったが、ようやく纏まった。
今月中旬には地鎮祭を行い、雪が降る歳末までには基礎を打ち、雪解けを待って4月から建て方を始める。

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             <伊勢おかげ横丁北口棟 加工風景>
青森の料亭も年末の竣工に向け、大工仕事も佳境に入ってきた。
日本海気候の影響でこの季節雨が多く、外の仕事が捗らない。決めるべきことはほとんど決めたが、天候とのにらめっこが続く。
若い大工、細越君が次第に頭角を現し、躙口周りの仕事を納めた。これまで積み上げてきたものが、花開こうとしているのが伝わってくる。
棟梁になる日も、そう遠くないはずだ。
伊勢の仕事も加工が終盤を迎え、棟梁の顔にも安堵の色が浮かんだ。
先日、高山建設岡本社長の計らいで、棟梁の堤さん田畑さんと大いに呑んだ。
悩んだ考えたと仕事の話は尽きないが、彼らの姿勢には迫力がみなぎっている。何十年と積み重ねてきた仕事への責任が、その仕事に現れるようになって、初めて棟梁が務まるのだろう。
現在、地下の躯体が打ち上がり、木軸の基礎に掛かっている。月末には柱立てを行い、順次建て方に移る。年内いっぱいに組み上げられるよう、現場一同気を吐いている。

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                   <W別邸外観>
昨日、千葉のとある別邸の、基本計画が諒承された。
これより実施設計に掛かる。
千坪の日本庭園に建つ数寄屋だが、3年前に私のホームページから尋ねてくれ、爾来これまで話を重ねてきた。既存の庭園との兼ね合いがあって、施主ともども頭を悩ましたが、妥協することなく纏めることができた。
追って紹介するが、来年3月の着工を目指し、至急設計体制を整えて、取り組む所存である。
景勝地に建つ茅葺きの計画を筆頭に、纏めねばならない計画もまだ数件ある。
腰の痛みも去らず、動くのに神経を使うが、そんなことはいっていられない。
ナマケモノの我が身に鞭をあて、精一杯を追求していきたい。
  (前田)