仙台S邸(設計納品)

やっと弘前の住宅も基本設計が纏まり、これより実施設計に入る。
出る機会も多く、四阿の引渡しを経て伊勢へ行き、現場を見てから青森へ。
その間、千葉の計画を書いて先にお送りし、明日からはまた、岩木山の麓に飛石の材料を見に行かねばならない。

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           <リビングから和室を通し、西の借景を望む>
先日、仙台の実施設計を施主に納めた。
施工業者もすでに決まり、早速見積もりに入るよう、諒解を得ながら進めている。年内に基礎までを終え、年明けから本体に着手したい。
計画段階では、これまでさまざまに話を重ねてきた。
お会いして早や1年が過ぎたが、熱心な方たちで、打ち合わせはいつも話が弾む。かなり早い段階で大まかな計画が纏まったものの、細部の使い勝手や窓の配置など、自分たちが納得するよう、ひとつずつ確かめながら詰めてこられた。
設計した家を見て依頼を頂いたので、およそ私の意図するところも理解した上で、ご自身の意見を持って打ち合わせに望まれていた。
そのせいか、この段階では珍しく、かなり具体的な造形まで詰めることができた。
ひとつ意見が分かれたのが天井高で、私の寸法の低さを指摘された。
聞くと、奥さまは大きな木造家屋のお育ちで、天井が高いのが常だったという。どうしても天井の低い家はと話された。
私の意見も申し上げ、再び実例を見てもらったりと意志の疎通に時間を割いたが、結果としてお互い納得のいく形で、設計を整えることができたのは嬉しい。
工事が始まってから意図が違うと分かるより、よほど良い。その意味では、気持ちが通うと思っても、その形までを理解し合えているかは微妙で、私らは常に肝に銘じねばならない。やはり理解の道に近道はなく、胸襟を開いて、幾度となく話を重ねるしか確たる道はないようだ。

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            <リビングからダイニング~テラスを見る>
気づけば今月も10日を過ぎてしまった。
年内にあと3件の実施設計を挙げねばならないかと思うと、胸が締め付けられる。
自分の中の曖昧な部分に、答えを出さねばと思うからだろう。
復興関連で仙台での仕事は厳しいらしいが、今から楽しみでもある。
  (前田)