籔入りも過ぎたのに、すでにして更新が覚束ない。
老眼のせいか、夕方になると目が霞んで図面が見えなくなるため、この時間をこうしたことに充てようと思っても、ついつい他用にかまけてしまう。
今朝の伊勢は、昨夜からの雨が雪にかわり、山々もうっすら雪景色になった。
<流れの支流と増築の亭>
石巻の冬はとにかく冷たい。
海に近いこともあって、とてつもなく強い風がいち日を通して吹き抜けていく。地面は凍り、凍てつく土はスコップを跳ね返す。寒いより冷たいという実感が強い。
関東以南では冬でも緑が青々しているが、北国では緑も色が沈み、必死に寒さと戦っているように見受けられる。また勢いある風から身を守ろうと、常緑樹も自らの葉を落とし、懸命に生きようとする姿が痛々しい。
いずれも寒い冬をしのぐ自然の知恵なのだと、庭師加藤孝志に教えられた。
そのため、冬の直前11月初旬までしか植樹ができず、現在は流れの護岸を中心に、石組みに没頭している。
前回の宿題だった長さ8mの稲井石だが、思い悩んだ末、橋に使うことにした。
3年前に完成させた庭に、新たな300坪の庭をどう繋げようかと悩んでいるが、思い切って、その接続に用いてやれと思い立ってのことである。
既存の庭は石庭が主体で、私がこの別業に参画したときには、既にそれらの石は据えられていた。かなり大きい庭だが、石の大きさが庭を小さく見せていた。
やむなく、それらの石を植栽で覆い、なだめなだめて整えたが、新たな庭は、優しく柔らかく取り合わせようと挑んでいる。
<長さ8mの稲井石を橋に見立てる>
新たな庭だが、これは流れを主体として苑路を設け、水際を歩くごとに景色を展開させ、奥行きを生かした多彩な視点を構築したいと思っている。
しかし、新旧併せて1000坪強の庭を纏めるのは至難で、容易には結論づけられない。
しかも既存の庭との取りつきにはかなりの慎重さが求められ、行くたびに構想を立てんと睨むものの、今もって迷いは尽きない。
8mの橋とは晴れがましい用法だが、新旧の庭をつなぐにはこれぐらいの主張があっていいかと、また滅多にない大石を生かしきらねばと思ってのことだった。
新たに増築した亭も景色に取り入れ、流れの支流を巡りながら、歩く楽しさも展開できる。そのため池も倍近くに拡げ、州浜を広々と設えて新たな芝庭とつなげようと、さながら造作に掛かりだしたところである。
<四阿から茶庭へと望む>
それでもまだ全体の半分程度で、これからが正念場だ。
塩害の余波はいまだに木々に陰を落としているが、春の訪れを待って、一気呵成に纏めていきたい。
そのためにも、この厳しい冬に思い悩み、春までには構想を全きものにしたいと考えている。
(前田)