いよいよ年も明け、今日から机に向かった。
昨日は自宅で毎年恒例の客をして、地元の友人や建築家らと過ごした。
かなりな酒量だったが、今朝は早々に起き出して仕事始めとした。
本年も戴いた仕事を通じ、誠意努めていく覚悟である。
<実施設計中 道路から外観全体を望む>
現在進行中の、伊勢の仕事を紹介する。
昨年の基本設計を経て、いま実施設計に取りかかっている建物である。
延べ200坪を超え、地下も備える。木造ながら上屋が500㎡を超えるため木造の構造計算も必要となり、しかも地下のRCと混構造と見なされることから適合判定審査が求められる。
複雑な形態から構造との調整に手間取ったが、漸く昨年末には構造へ送る図も渡せ、これから意匠図に取りかかろうとするところである。
中庭を囲んで2つのみせがひとつになるといった建物で、真中には大上段の趣に大階段を掛けている。階段吹抜の4間四方を、無柱空間として小屋を組んだ。
<同上 階段周り>
また景観上、軒低く納めたことから、小屋の掛け方が存外複雑になった。
木集めから大工らとの打ち合わせなど、今から思いを馳せて鉛筆を握っている。
月内には図面を完了させたいと取り組んでいるが、構造計算との調整や設備の納めなどもあって予断を許さない。また法規上、規制に意匠がゆがめられる怖れもあって、これからが悩みどころである。
意匠図では、それらをかいくぐって望む形に納めねばならない。
晴れて工事に掛かる折りにも、改めて紹介しよう。
<伊勢観光協会>
これは外宮前に建つ、伊勢市観光協会の建物である。
建物背景が外宮の森で、外宮入口にほど近い場所に位置する。建物の性格上、伊勢の伝統的な建築形態に則って構成した。
周辺は伊勢のおおまつりや初穂曳きなど、伊勢を代表するまつりが繰り広げられる場所であり、建物はその折りの会所的な役割も期待されている。
1階は板間が続く周囲に土間をまわし、へっついを構えるだいどころが取り付く。伊勢の観光を担う拠点として多くの人が集い、利用する施設であってもらいたい。
すでに工事に取りかかっており、月末には上棟を迎える。
このほか計画中の仕事もあって、本年も応接にいとまなく過ごすことだろう。
また各地での仕事も、その都度に報告したいと思っているが、果たして更新速度が追いつくかどうか。年頭にあたっての課題として取り組む所存である。
これからも屈託なく綴るつもりだが、どうか遠慮ないご叱声ご鞭撻を賜り、本年もご笑覧いただければ幸いである。
(前田)