川沿いの家

歳が開け、今日から机に向かった。
バタバタ終わった昨年末から呑み続けの4日間、復旧には暫し掛かりそうだ。
毎年年頭に自宅で客をするのだが、普段会えない人に会えるいい機会になっている。20年前より続く我が家の恒例行事で、家族揃ってのひと仕事が、私の正月を実感する。

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               <川沿いの家 外観を望む>
青森県八戸市に建つ、川沿いの家を設計した。30代のご夫妻家族が住む。
南側前面に新井田川が望まれる格好の場所で、川向こうには自然の林が群生し、遠景には山並みも望まれる。川の手前には遊歩道も整備され、周辺一帯が新たな住宅地に開発された。
新井田川は市内を流れて太平洋に注ぐが、周辺にはまだ自然が残り、時期ともなると鮭が遡上して、川面を跳び跳ねる群れの姿も見られる。
豊かな自然に囲まれた好立地といっていい。
詳しくはいずれ改めるが、年末に赴いたところ、肝心の工事が止まっていた。
暮れに着工したのだが、基礎に着手するも断熱材の品薄でコンクリートが打設できない。ニュースや新聞でも詳報が流れたのでご存知の方もいると思うが、全国的な問題になっていて、入荷3ヶ月待ちはざらという。
住宅産業を活性化しようとの国策がその原因なのだが、そのため各地で住宅工事が滞っている矛盾に、憤りを覚える同業者も多いだろう。右向け右、といわれているような不快感が拭えない。
家を担保する施策には是非もないが、ともすると住まいを小さなものにし、価値を誘導することになりかねない。家を工業製品に捉えた価値観の押し付けには、些か疑問も感じる。

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                   <2階リビング>
昼過ぎまで机に向かって福岡の施工図に目を通し、少し早いが伊勢へ向かうことにした。Uターンラッシュの人波に、駅も車中もひしめいていた。おかげで、いっぺんに仕事モードに切り替わったようだ。
今年も与えられた仕事を通じ、誠意努めていく所存である。
困難な時代だが、せめて夢のある提案で貢献できればと思っている。
多くの方のご鞭撻ご叱声を、心より願っている。
  (前田)