伊勢商人館で行われた町家フォーラムも、盛会に終わった。
主催者を代表する濱口オサミ先生から、昨日丁重な礼状を頂き、恐縮している。
町家を通して伊勢を振り返る、私にとっても良い機会を得た。
お誘いを戴くも、仕事が詰まり、懇親会に出られなかったのが悔やまれた。
<八戸の家 リビング>
歳末が近づく今も、26日に納品する実施設計に没頭している。
峠も越え、全体を見渡しながら、最後の詰めに入った。図面も先が見えてくると、そこでの生活が浮んできて、途端に夢が膨らんでくる。残る数日を、思いを込めて纏めようと思う。
東京府中に建つ家だが、この若い建主もHPから尋ねてくれた。
八戸の家をみて、という。いまも住宅の依頼の多くが、ここから発している。
先日、事務所のN君を連れて八戸に行った。遠方とあって、まだ見せていなかった。着く前から雪が降りだすあいにくの日だったが、「これはいいですね。本当に良いです」と、彼なりに世辞を投げて見て回っている。
築後の新しさこそ失せたが、色も馴染み、全体に重量感が加わったようだ。
こうしてみると、設計に込めた思いは、歳月を経てから浮かび上がってくるように思う。制限もあって、本来でない箇所も多いのだが、新しさの陰に隠れていた家の面目が、次第に鮮明になってくるようだった。
今年は継続の現場を始め、伊勢、山形、福岡、八戸、石巻、青森、東京と実施設計を挙げ、遠方の仕事も多くなった。昨年にも増して時間が濃密になっているが、気持ちには余裕がある。
移動の時間を、自分なりに使えるようになったからかも知れない。
月末26日に納品し、翌日福岡の現場を見た後、青森に飛んで原寸を引き、続く石巻で現場を指揮して仕事納めにしよう。今年も歳末迫るまで仕事となった。
来る年も小田原の計画を皮切りに、意欲逞しくも、心静かにいる。
今後とも、戴くご縁を通じ、納得頂ける仕事を重ねていきたい。
本年のご芳情に深く謝し、来る歳も相変わらぬご叱正をと願っている。
(前田)