いま伊勢でも、数件の仕事が同時に動いている。少し紹介したい。
昨年11月に内宮宇治橋が掛け替えられ、遷宮に向けた気運も次第に高まってきた。以前紹介した内宮おかげ参道も、宇治橋に合わせて昨年末に上屋が完成し、五十鈴茶屋を含む一帯の佇まいが一新した。
「これが伊勢なんだね」
道行く人の言葉に、胸をなで下ろしている。
<道路から全体を見る>
昨年から、おかげ横丁の西の入口となる場所に、新たな茶屋を作っている。
矩の手に道路が取り付くせいか、建物も大きく感じられるようだ。
おかげ横丁は平成5年の開丁以来、今度で2度目の遷宮を迎えることになる。
常に原点に立脚しながらも、時代の感覚や要望を取り入れ、これまで徐々に全容を整えられてきた。
横丁に招かれてより13年目に入るが、年々と幅と奥行きが加わっていく。
横丁を支えるみなの地道な努力と研鑽が、訪れる人の横丁へと昇華させているのだろう。
内宮参拝には国道23号線を向かうことになるが、このあたりに来るとおはらい町通りと併走する形になる。本建物はこの国道に向かって建つ。
向かいには神宮会館がたち、近年立体駐車場が設けられたことで、ここを拠点として動く人が多くなったようだ。
下図右手の小さな建物は、数年前に堀割りを挟んで建てた裁苑である。
和花を扱う趣旨で作ったもので、江戸時代の温室を再現している。このたびの計画は、それと道を挟んで相対する格好となり、西の入口としての風格と佇まいが一層強靱になるのではと勇んでいる。
<国道からおかげ横丁方向を見る>
先日上棟を迎え、現場は屋根回りに目下総動員中である。
初めて取り組む日本土建の監督、中瀬忠典と、岡工務店、岡会長になり代わり村山棟梁が気を吐く。彼らとは初めての仕事だが、図面の読み込みに始まり、破風板などの各種原寸、細かな納めを毎回話し合う。
上棟のおり村山さんは、いつにも増して目を輝かせていた。
「一生のうちに、こんな仕事をさせて貰えるなんて」
何べんも握手を求められ、心なしか目も潤んでいた。
新たな仕事は、新たな人を引き合わせてくれる。
時には厳しく、時には酌み交わしながらも、仕事の真心を通わせたい。
常に初心に立ち戻り、その目の輝きに応えられる自分でありたい。
詳細は追って紹介しよう。
(前田)