私どもで設計した「木の家T邸」が、このたび賞を頂きました。
第2回あおもり産木造住宅コンテストにおいて最優秀賞の受賞です。
施工にあたった大山建工は2年連続の受賞で、携わった方みなまさにも大きな励みになったのではと思います。
<T邸外観>
この賞は、青森県産の木材を使った良質の住宅を顕彰する目的で作られたもので、まだ日が浅いものの、今回は力作揃いの応募だったようです。
青森県主催によるもので、栄誉ある知事表彰を受けることになりました。
審査の段階では、一般を対象にした応募パネルの公開展示や、インターネットを通じた作品紹介など、木材の需要喚起と共に、木の家のもつ魅力を多くの人に伝え、かつ審査の透明性を担保した上で行われたようです。
豊富な木材を有する県が、住宅のあり方を問う、示唆に富む試みだと思います。
コメンテーターとしておなじみの大山建工の黒坂さんが応募パネルの制作を、主旨を前田さんが書いていました。建主のTさんも、大変喜んでくれたようです。
まずは私どもの責務も果たせたようです。
木の家も、木を使う使い方が問題で、家中に木を張りめぐらせた枡の底で暮らすような家も、木の家として取り上げられる昨今です。しかしそれだけでは、木を使うという自己満足から抜け出せないと思うのです。
根底に確固たる建築があってこそ、木の家は大きく魅力あるものになる。
私どもはそう信じています。
今後とも良い木の家を作るため、努力して参ります。
(かりの)
<T邸内部>
<応募コンセプト>
八戸郊外に建つ、20代の家族が住む住宅である。
「木をふんだんに使った家を」と依頼された。敷地周辺はまだ閑散としているため道路側を閉じ、内部に開くことで豊かな空間を確保したいと狙った。
2段に葺き下ろされた屋根と、格子のアクセントで外観を整え、玄関の土間を通じて庭と連続することで、外部と一体の多彩な使い方を可能としている。
リビングが家の中心に位置し、家族団らんの場となる。
吹抜を支える梁には南部産の赤松、百年ものを丸太なりに意匠を整えて掛け渡している。ひと削りの手を掛けることで、自然の木がぐっと身近になる。
土台には水掛かりに強い栗を、柱には目が詰まった80年ものの杉を用いた。胴差しには和室周りを杉に、リビングには赤松を用い、木肌が与える室内への効果も考慮して材料を配っている。
床板には栗、杉、赤松と各部屋の用途や雰囲気に従って選定した。
端材も捨てることなく短材に加工し、長物と張り混ぜることで違和感なく仕上げている。資源の有効活用は、これからの時代において最優先される課題である。
屋根にはソーラーシステムを設置し、内部は機密性を高めた断熱を施すことで、エネルギーの省力化も図っている。
一見単純な形ながらも内部の架構は複雑で、大工の知識と経験に裏付けられた我が国伝統の木組みを規範として、現代の住まいの創造を図った。