ハレの日の室礼 -3 (祇園祭りによせて)

お久しぶりです。
ここのところ夏らしくない日が続きます。 先日なぞは秋のような気候でしたね。
皆さま、体調など崩しませんようお気をつけくださいませ。
さて、ハレの日の室礼、祇園祭の続きです。遅くなりましてすみません。
午後6時半過ぎ、やっとお稚児さんと宮司様が来られました。
人の出入りも一層激しくなり、緊張の糸がピンと張りつめた雰囲気が河村家に漂います。

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お稚児さんを、男性の方が二人掛かりでお世話されていました。
祇園祭の間、稚児にはたとえ母親といえども、女性が触れることはできません。
到着するとご神体を床の間に上げて、”なかだち”をし、宮司様がお礼に、河村家のお清めをしてくださいます。
家にいる老若男女すべてが頭を垂れ、宮司様のお清めを受けます。
小さな子供までもがきちんと頭を下げ、その間じっと静かにしているところをみると、祇園祭が河村家に長い間伝わっていることがわかります。
さて、わずかな休みを取られたお稚児さんと宮司様が、河村家を発たれました。
それに引き続き、東西の御神輿を迎えます。
暑い中(その日の京都は特に暑かったのです)神輿を担いでこられた方々に、前回ご紹介したお弁当と冷たいお茶やビールをふるまい、宮司様にはお食事を給します。
河村家の内外は、溢れんばかりの人、人、人・・・・・

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あれほどあったお茶もビールも、あっという間になくなりました。
もちろん、店先に設けた御不浄もひっきりなしです。
確かに、この調子で家に入られては、たまったものではないでしょうね(笑)
ひと呼吸おいて、いよいよ”なかだち”から発たれる折に、担いだ御神輿を家の前で大きく振って、河村家への御礼の気持ちを伝えてくれます。

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この写真で、お分かりでしょうか?
御神輿は重厚で相当重さもあると思われますが、それを頭上に高々と持ち上げ、猛々しい掛け声とともに振ってくれるのです。
昼間の山鉾巡幸とはまた違った、もうひとつの祇園祭の姿です。
嵐のような時間があっという間に過ぎ去ると、今度は河村家がお手伝いにこられた方々をねぎらわれます。今日は、お寿司とハモを振る舞っていただきました。
ハモは祇園祭には欠かせないものなんですよね。
私もホッとひと息、遠慮なく美味しくいただきました。
祇園祭というハレの日。
京都の町にあって、普段静かな時を過ごしている河村家が、最も華やぐ日です。
私らにとっては、”人があって家がある”という感覚が強いと思いますが、このような旧家では”家”があることが大きな前提にあって、意味があることなのだということを、強く感じました。
家が”ハレ”の日にその姿を変える、その魅力は間近で見ても凄いものです。
普段、プライベートの固まりの家が、この時ばかりは街の中の役割を担う。
多くの人が出入りし、神さまも立ち寄られる。これって凄いことだと思います!
このような伝統は、特に家の果たす役割を中心に、事が進んでいくんでしょうね。
と同時に、これを守り伝えてゆくことの大変さを、痛感しました。
末尾になりましたが、貴重な経験をさせていただきました河村さんに、厚く御礼申し上げます。
また当ブログに掲載をご許可をいただきましたことを、重ねて御礼申します。
皆さまもご拝読、ありがとうございました。
次回からは、中断しました前田さんの講義の続きをご紹介します。
  (かりの)