先日、待望の山口邸の竣工式に招かれました。
ついこの間まで、工事現場さながらの状態だったのに、と思ったのも束の間。
いよいよ完成です。
雨を吸い込み青々と茂った芝生、庭師 植甚さんによって見違えるような庭が完成していました。丹精込めた木々、縁先には水面を思わせる伊勢砂利が敷かれ、優しい佇まいです。
随分、植甚さんも頑張っていただいたようです。
竣工式当日。
その日は、夜半から降り出した強雨も上がり、爽やかな秋空となりました。
すでに庭の一角には神事のお供物が据えられ、先代からのお付き合いという神主さまご祭主のもと、厳かな雰囲気が漂っています。
私たちも、まずは工事の無事に感謝し、今日を迎えられる喜びを思わずにいられません。新築なった山口家の末永いご繁栄を、心よりお祈り申し上げます。
朗々たる祝詞は家の中を駆けめぐり、ご先祖様も寿いでいるかのようです。
晴れ渡った秋の空に澄み徹ります。
最後に山口さんのご挨拶です。
「この家は、前田先生、扇光さん、植甚さん、その他たくさんの方たちのお力
を借りて建てていただいたものです。最初、先祖代々のものを壊すことにとて
も戸惑いを感じました。ですが今は、ご先祖様がつちかってきた歴史を引き
継いで、今度は私たち家族四人が、皆さんに建ててもらったこの家を大切に
し、自分たちの歴史をこれから作っていかなければならないと思っています」
ありがとうございます、感動しました!
仕事を通して願っていた私たちの気持ちを、明瞭に語ってくださいました。
家というものはかくありたいですね。何より大切な言葉だと思います。
中西専務はじめ、大工さんたちもさぞや嬉しかったことでしょう。
さてその後、場所を移して山口さんご厚意の直会へ。
僭越にも私までお招きに預かり、労い(ねぎらい)の宴を設けて下さいました。
中西専務も奥様を同道しています。にこやかな笑顔にも専務を影で支えるご苦労が察せられ、初めてお目に掛かったにも拘わらず、すっかり打ち解けてお話しできました。
若い大工の村林君、中野君の両名も嬉しそう。前田さんから杯を求められ、恐縮しながら酌み交わしています。将来が楽しみな方たちです。
一方、中西専務は「工事が遅れすみませんでした」、繰り返しお詫びしておりましたが、お顔は喜色満面。きっと嬉しかったのでしょう。このお人柄がお家を作ったんですね。
うちの永松君も、必死に皆さんにお酌をして回っています。
料亭の会席スタイルに緊張したのも、最初だけ。(ごめんなさい)
中盤以降は、全員車座になって(いつものことらしいですが)杯を酌み交わし、お互いの労をねぎらっています。
そこに植甚さんのひと言。
「こういうのがたまらないんだよなあ~」
もちろん山口さんの奥様もご一緒です。
その日は最後まで、山口さんご家族が揃っておもてなしして下さいました。
私たちそれぞれに労いの言葉を掛けて頂き、ただただ感謝申し上げる次第です。
工事に携わったみなさんも、再び仕事に対する熱意を新たにしたようです。
長い間、有り難うございました。
住み慣れた頃、またお邪魔させていただきます。
(かりの)
次回からは完成した建物内部をご紹介します。
皆様からのご感想、ご意見、質問などもどしどし受け付けます。
コメント覧で結構です。何なりとお尋ね下さいませ。