大きな梁

新五十鈴茶屋にも大きな梁が据わります。
これはその中でも、2階の大きな屋根の軒の出を支えるため、小屋組に掛かる梁を軒先の出桁まで延ばして納めているものです。すごい曲がりですよね。

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木は生えていたときと同じ姿で使うことを原則としていますので、軒先に当たる部分が木の根本になります。写真では大した曲がりに感じられないかも知れませんが、実際は相当なもの。これを見つけるのに何ヶ月も掛かりました。
柱上に直にこの梁をおき、その上に桁を乗せます。屋根の小屋組の荷重が内部にかかるため、軒先は”てこの原理”で上がる力が加わるため、この大きな軒先を支えられるのです。
このような使い方の木を別名 ”はね木” とも呼びます。
ちょっと前までは、こんな曲がった木は幾らでも手に入ったのですが、今は全くダメ。
曲がり木は梁にしか使えませんが、直材なら利用価値に幅が出ます。商品にならないものは市場に出回らない、言ってみればそんなところですか・・・・本当に残念です。
このような曲がり木は、山の急な斜面から生えた木で、山の傾斜なりに芽を出したものが、次第に天を向かって伸びるため、根本でこのような大きな曲がりを生むのです。だから素性としては決して良くない、癖はありますし暴れます。
しかしこの木でなくてはこの場所は納まらないのです。
それぞれに癖のある木を適材に配り、癖を組んでいくことで建物部材の相互のゆがみを押さえ、強い構造体に組み上げていくのです。
  (前田)