山口邸玄関から和室へ

さて先回の外観に続いて、家の中の紹介です。
このパースと図面を引っ張り合わせてみれば、山口邸全貌がつかめるはず。
それでは・・・・探検開始!
【玄関】
玄関はその家の顔。そして玄関廻りは、その家族の暮らし振りが表れるところですね。
大事に造りたいところです。

画像

エントランスから続く玄関土間は2畳の広さ。入口に格子戸を立てています。
下足入れは家族に加え、お客様の分まで収納できる容量をとることができました。下足入手前には造りつけの傘入れ、玄関を上がった開き扉はコート掛けです。
正面には和室の書院窓を望み、ご主人希望の円窓を下地窓にして山口邸玄関のアクセントとしました。
南向きに屋根裏を見せた玄関は明るく開放的で、山口さんお人柄そのままのイメージです。
【10畳和室】
普通の座敷では、天井を張るのが基本です。
しかしここでは山口さんと話した結果、あまり格式張った和室ではなく、普段からくつろげるものがよいということになりました。

画像

その結果、家の構造体である木組みがそのまま露われるものにしよう!ということで、床梁と床板をそのまま表した「根太天井(ねだてんじょう)」となりました。
(よく民家の1階なんかの天井に見られる形です)
”木組み(木の架構)が露われる”ということは、本来隠されている部分を化粧で見せるということ。実はこの方が仕事としては大変で、手間も費用も余分に掛かるわけです。
また打ち合わせ時に相談のあった、お仏壇の収納場所を、床脇の障子裏に納めることを提案しました。障子を開けることで仏壇が現れ、その脇にはご遺影を飾るスペースを取ります。
当然閉っていればれば客間に、ひとたび開け放てば仏間にもなるわけです。
リビングとの境は引き込みの襖で開放することが可能です。こうすることで、さらに開放的な空間となります。
余談ですが、パースに奥さまの第1希望、「火鉢」を書き添えてみました。
実は拙宅にも形は違いますが、和室に火鉢が置いてあります。これがなかなかに勝手がよく、鉄瓶で湧かしたお茶はまろやかでとてもおいしいです。またお客が来たときには、この鉄瓶の中で徳利を暖め、ゆるゆるとお酒をいただきます。台所から「チーン」という音色とともに燗酒が出てくることは我が家にはありません。給仕のひと手間も省け、お客様にはその風情を喜ばれる、まさに一石二鳥です。
これも日本の生活ですよね。
さて以上を以て、7月末に施主納得のもと、基本設計完了。
実施設計に取り掛かります。
*先ほど施主の山口さんからこのブログに寄稿を頂きました。
  次回は施主山口さんの声を、ダイレクトにお伝えいたします。
  お楽しみに・・・・
                 (かりの)