応接室前の廊下を見る。西玄関から入って左に進むと手前に応接室、廊下突き当りの襖を開けると和室への入側となる。この丸窓の外が、水鏡を通したシアタールームになって、応接室もシアタールームも、常に使われる部屋ではないことから、敢えて視線を透かせた。丸窓は、単調になりがちな廊下に対し、両室の視線をつなぐアクセントにとあしらった。
<応接室前の廊下から和室入側を見る>
応接室から北庭を見る。ここは、仕事関係の来客用に設けている。北庭の緑が間近に迫り、北側には目隠しに塀を施してまとめた。この塀は和室棟まで続き、間近に映ることから杉皮を張り、庭を引き立てる背景にと採択した。この杉皮も、今では手に入りづらく、材料調達が年々難しくなっている。北庭に向けて濡縁を張り出し、下屋を差し掛けて外の景色を室内へと招く。
<応接室から北庭を望む>
応接室から廊下を見る。エタノール暖炉を設け、背面には地元産の十和田石を張った。中庭の水と対比した格好だが、長い冬の来客をもてなすひとつにと火を囲んだ。天井の網代は、棟梁2人がかりで杉柾板を厚めに削って市松に編んでもらった。厚板を編むには労力がかかるものの、間接照明の灯りでテクスチャーが際立ち、美しく仕上がった。建具の吹寄せの横桟も、西玄関のガラス戸と合わせて連続性をもたせた。
<応接室から廊下方向を見る>
若い家族の浴室になる。東の浴室も同じ作りで、ガラス張りとして外の緑を取り込む。この浴室は北庭に突出させたため、和室に面した北庭までもが見通せる。北庭は一面の砂利敷きとしてドライな庭とし、南庭の緑豊かな庭と対比させた。また北側は冬季に凍結の恐れもあり、三沢の気象条件からも、メンテナンスのしやすさを考慮した。
<西浴室から北庭を望む>
若い夫妻の寝室になる。内部は杉羽目板を全面に張った勾配天井とした。プライベート空間なので公開しないが、ここは、庭で見た紅葉山を間近にし、滝口までもがパノラマに迫る。昨年ここから見た晩秋の景色が美しく、紅葉の赤と芝生の緑が夕陽に映えて絶景だった。外には濡縁を張り出し、下屋を回すことで、一層景色を室内に招いているようだ。
<西寝室から紅葉山を望む>
<つづく>
(前田)