道路から直線に入り、格子に沿って矩の手に曲がるアプローチとしている。単純な構成ではあるが濃密なアプローチにしたいと思った。
格子裏には中庭を設けて植裁をおき、この植裁を包み込むように、主屋根を回り込ませてアプローチの庇としている。
<アプローチから中庭を見る>
このアプローチからは、階段下のペット部屋への入口と、手前の応接空間への動線も兼ねていて、日常の使い勝手を満足させながらも生き生きした場にしたかった。その意味でも中庭は有効に作用するかと思い、小さな空間ながらも、リビングからこの緑が伺えるよう地窓を開け、また中の光が程良く外にこぼれるようにと、上にも窓を開けた。
寒冷地であることから、断熱基準を高く設定し、開口部は全てトリプルガラスの断熱サッシとした。サッシの見付が大きくなる分、少しでも軽快に見せるよう、木造矩体にサッシ寸法を合わせて丁寧に嵌め込んでいる。
中庭の大樹はヒメシャラで、施主と見に行って、すぐに決めた樹である。
<中庭のヒメシャラ>
玄関はプラン上、外部との接触はこの中庭だけとなるので、屋根裏までの吹抜として懐深くし、中庭の緑と対峙できるよう高窓と地窓を開けた。また駐車場へ雨掛かりなく行けるよう、この玄関土間から直接駐車場へ接続させている。
この家の主立った暖房はペレットストーブで賄っていて、ペレットからの床下ダクトで玄関や洗面所にも暖気が行き届くよう設計している。
<応接入口とペット部屋への入口>
アプローチの格子は、杉の2寸角をコマ返しに立てている。
見えそうで見えにくく、それでいて部屋の灯りが程良くこぼれる寸法をと見立ててみた。
雪が多い地方だが、ひと冬を乗り越えた緑が一段と鮮やかに、白い花が際立っていた。
<玄関正面を見る>
(前田)