神宮宇治橋前に建つ実施設計を昨日納品し、今朝からまた計画に掛かる。
連休は電話も掛かってこないため、例年机に向かう格好の機会となっている。
続いた数々の引き渡しも終え、心機一転の心持ちか。
ハナミズキも花が散り、新緑眩しい候となった。
<福岡の計画 西側俯瞰>
東北と四日市で住宅の計画を進めている。
どちらも若い方で、将来を見据えながらの計画である。ご両所とも木の建築にほだされての依頼で、我がことのように楽しみながら考えている。
書くのは容易いのだが、許されればなるべく時間を掛けて、ゆっくりと眺めて決めていきたいと、これまでやってきた。ひとたび線を引くと、ついその線にとらわれ、施主ばかりか設計者自身をも縛りかねない。確定まではいつでも白紙に戻せる冷静さと、熱意を傾注し細部まで決め込んでいく力強さの両端を拮抗させていく、大事な時間である。
と、そんな言い訳をしながら、暫しご猶予をと願っている。
<北側俯瞰>
もうひとつ、福岡で大きな施設の計画に掛かっていて、これは限られた期間で答えを出さねばならない。
規模が大きいだけに要望も複雑だが、これまで培ってきたものをぶつけて、案に絞り込んでいく作業を、このふた月平行して進めている。
延べ2000坪に届く建物とあって小さな縮尺で全体像を追いながらコンセプトを収斂させているが、手法は異なるものの、自らを見つめ直す良い機会となっている。
前回の案で、施主とコンセプトが共有できたので、具体寸法を落としながら、この連休中に第3案を纏めねばならない。
<北西側俯瞰>
どのような解答に導けるか、それぞれにまだ未定だが、昨日の自分に一枚でも紙を重ねる仕事で信頼に応えていきたいと思う。
この数日は机を前に気持ちを沈潜させ、静かに問い続けてみたい。
<模型製作 協力事務所 久保田篤正建築空間工房>
(前田)