8月をかけた実施設計を月始めに納め、立て続けに各地の現場を巡っている。
図面に向かっていると年々体力の低下を実感するが、これも致し方ない。
気づけば田畑の刈り入れも終わり、ちらほら彼岸花も咲きだした。
<奥から順次、建て方を始める>
伊勢のおはらい町に面した伊賀組紐の建物も、ようやく建て方が始まった。
敷地の問題で暫く現場が動かなかったが、これからは一気に進むだろう。
今年は長雨に祟られたせいか、松の梁の青カビがなかなか止まらない。大工も腐心していたが、秋晴れのもと、組み上げられていく架構を見ていると、やはり胸が高鳴る。
みせ内部のレイアウトや売り場構成について、これまで数回にわたって打ち合わせを重ねてきた。おはらい町でもここは内宮から離れているとあって、組紐の魅力に人が集まるみせ作りをどう訴えるか、毎回会うたび議論を深めている。
建物は伊勢の町屋で、これまで界隈で作ってきた建築に連なる。
職人たちもいつもの面々で、かゆいところに手が届く仕事で応えてくれている。
来月初めに上棟を迎え、来年4月の完成を目指す。
この3軒となりには、先に書き上げた革の専門店が、まもなく始まる。
加えておはらい町に建つ老舗の大規模改修が年末にあるのと、新規計画の纏めもあって、暫くはこの界隈の仕事も続く。
福島から成田、続きに東北の現場を見て、松阪に回って完成間際の茅葺きの家を確かめ、和歌山の串本の建て方で大工と打ち合わせをし、博多を回って昨日、四日市の住宅のプレゼンを経て戻ってきた。
かかわる上からは、どれもいい建築に昇華できるよう、気を引き締めて望んでいきたい。
(前田)