石巻森別邸

歳が明けて、早やひと月が経とうとしている。
日々に追われるなか、新春の新たな気持ちも吹き飛んでしまった。
これではいけないと思いつつも、この更新もままならない。
現場監理に新たな計画にと、急き立てられるのも悪くはないのだが。

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                <主庭の滝を見る小亭>
久しぶりに石巻に行ってきた。
紹介が中途半端になっていたが、一昨年に庭も無事に竣工した。
思えば長い期間が掛かったが、建築と庭との融合を目指して作るとなれば、これもやむを得まい。
ひとまず第一期で粗方を完成させ、第二期で庭園を拡張し、滝を望む小亭を添えて全体を纏めようと目論んだ。
しかし、その一期工事で作った庭も建物も先の震災でやられてしまい、精魂込めて作ってきただけに、私も含め、みな意気消沈した。
それでも施主の強い意思は変わらず、時間を掛けても完成に漕ぎ着けたい。引き続き協力をと懇請され、改めて職人らも勇気を奮い立たせ、再生に望みを掛けて取り組んできた。
それでも海水の塩害は想像以上で、徐々に枯れていく庭木の姿を目の当たりにすると、萎える気持ちが抑えきれない時もあった。
その中にあって、互いに励まし合い、地道な根気で乗り越えられたのは、仕事を通じて育まれたチームワークがあったからこそであろう。

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           <流れに沿って苑路が織りなす回遊庭>
竣工一年を経たが、ようやく庭の樹も苔も落ち着き、全体に柔らかな佇まいを醸していた。
今度は、池上に張り出した舞台が欲しいという。
昨年春には披露会が催され、お茶や琴の方らの奉仕を得て、多数の来客が苑内の別天地を楽しんだと聞いた。
その舞台を桜の開花に間に合わせ、出来上がりを含め改めて紹介したい。
 (前田)