茅葺きの家

正月明け早々、また腰を痛めてしまった。
年末年始、畳の生活が続いたのが原因だろう。
日本建築を志す人間としては、些か恥ずかしい。
やっとこの数日復調しつつあるが、この腰とは長い付き合いになるかも知れない。

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             <アプローチから建物遠景を望む>
絵は、今年中に設計を纏めねばならない茅葺きの家である。
3年前とある人を介して訪ねてくれ、以来、折りをみて話を重ねてきた。
周囲の田園を含んだ広大な面積がその土地で、手のつけどころに迷うほどだが、徐々に整えながら、いずれ自社の里山を作りたいと承った。
敷地南側が崖になって大きな川に面し、そびえる山を正面に望む。この山裾を撫でるように川が蛇行し、山際に現れた川が目の前を通って山間に消えていく。
20mほど下の川面を見下ろす格好になるのだが、山が周囲を囲むためか、流れが一層奥行きをもって迫ってくる。対岸も周辺も人家がなく、景色を独り占めに、幾重の遠山を背景にして雄大な景色を見せてくれる。
施主はすでに30年も前から構想を立てていて、夢を実現すべく、これまで方々の土地を捜し歩いたと聞いた。近年ようやくここに辿り着き、この景色を見初めて計画が始まった。
私のことも伊勢での10年前、五十鈴川畔に建てた建物から見てくれていたそうで、有り難くもこのたび依頼を戴いた。
周囲の田園を取り込み、この一帯の風景を再構築してみたい。奥には茶畑も連なり、働く姿と相俟って、四季の移ろいと営みが新鮮な感覚で迫ってくる。

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                   <敷地全景>
土地に若干の高低差があるため、それを生かしながら考えてみたい。
アプローチの付け方や、今後の展開を見据えて、年末初回のプレゼンを行った。
練っていくのはこれからだが、机前に張って眺めつつ、構想を膨らませている。
(前田)