月2、3回の割りで石巻に通っている。
仙石線の復旧が覚束ないため、仙台からバスで行く。
一時期の復興車両は少なくなったものの、夕方は仙台に戻る混雑が凄い。
帰宅渋滞に時間が読めず、まま仙台で乗り継ぎに呆然とさせられる。
<新庭の池から流れあたり>
遅々とした進捗ながらも、少しずつ形になってきた。とはいえ完成への道のりは依然遠い。
しかし図中で考えるより現場は教えてくれるもので、行くたびに構想が膨らんでいく。浮かぶひとつひとつは大したこともないのだが、この小さな手掛かりが次の展開へとつながって、悩み裏腹に夢が広がっている。
敷地が長いため奥から仕上げているが、苔などのグランドカバーを除き、今のところ3割方の出来といったところか。
それでも、奥の池とそこからの流れの端緒がつかめ、既存の茶庭との取り合いもうまくいった。
茶庭も津波の塩害で打撃を受けたが、中にはそれをものともせずに芽吹く逞しい木もあって、生きる強さを教えられる。しかし、以前植えた背景の樹木は軒並みやられてしまい、やむなく新たに植樹して整えた。幸いにも葉張りある樹が手に入ったことで重ね植えが省け、以前より広く露地が取れた。
そこで庭師の加藤孝志と相談し、茶室北の枯流れを露地を囲むように東に回遊させ、流れ主体の新庭を意識した繋がりを図った。
先日から塩害を被った土を入れ替え、暴れた茶庭の木々を整理し直して、漸く元に復すところまで漕ぎ着けた。
<新たに作った枯流れ>
年末にかけては、既存の池との取り合いに掛かる。
大仕事だが、これが纏まらないと先には進めない。
新たな庭とのバランスから、池を拡張して全体の調和を図ろうと目論んでいる。
増築した亭も、今はまだ庭から浮き上がっており、周辺の佇まいとこの池をどう馴染ませるかも考えどころである。
奇木奇石は用いぬつもりだが、このたび施主のご縁で長さ8mの稲井(いない)石が手に入った。これを活かさぬ手はない。
滅多な石ではないだけに、どう生かすかが問われるところである。
(前田)
<茶庭から新庭に向かう>