年が明け、あっという間にひと月が経とうとしております。
皆さま如何お過ごしでしょうか。
私どもの事務所は伊勢にあるのですが、実は事務所を構えるにあたって、土地特有の習わしに驚ろいたことがあります。
<事務所にかけた今年の注連縄>
街を歩いていると、どの家の玄関にも、正月でもないのに注連縄があるのです。
三重県、特に南勢地域や志摩では、このように1年を通して注連縄が張られています。
よく見て頂くと、何か文字が書かれているのが分かると思います。
この注連飾りには、「蘇民将来子孫門」という文字が書かれています。
「蘇民将来之子孫」の話は、日本中さまざまな地域に残っているそうです。
スサノオノミコトが、南海の旅の途中、蘇民(そみん)将来と巨旦(こたん)将来という兄弟のいる地に立ち寄り、一晩の宿を頼みました。弟で裕福な巨旦はそれを断り、貧しい兄の蘇民はミコトを泊め、親身に世話をしました。
スサノオノミコトは大変喜ばれ、蘇民に、「悪い病が流行った時には、蘇民将来の子孫と言い、茅輪(ちのわ)を腰に付けなさい。さすれば病気を免れることができますよ」、と言い残し、立ち去ったという伝えがあるそうです。
<注連縄>
そのことから、この地では、「蘇民将来子孫」と書かれた札を注連縄に飾り、家に邪気が入ってくるのを防ぐ護符として、新年の準備をされたといいます。
「蘇民将来子孫門」の他にも、「笑門」と書かれた注連飾りもよく見かけます。
これらの注連縄は1年を通して門口に飾られ、歳末になると新しいものに取り替えられます。
今では当たり前のように見ていますが、最初は驚きましたね。
今年も1年、いいお仕事が出来るようにとお願いしました。
伊勢らしい、ちょっとしたお正月の風習を紹介しました。
(かりの)