梅雨の蒸し暑さも格別な候、体調など崩されておりませか。
仕事に追われる日々で、悪化する気候に一層苛立ちが募るようです。
さて今日は私たち、伊勢事務所とその界隈を紹介しましょう。
<河崎界隈の街並み>
伊勢の入口、伊勢市駅から歩くこと10分、河崎という町に事務所はあります。
河崎は勢田川に面して、かつては伊勢の台所として賑わいました。海路伊勢湾からこの勢田川を通って、物流が行われたのですね。
勢田川に面しては蔵が並び、舟から直接荷揚げできるように、建物も工夫されていました。特に室町から江戸時代にかけて河崎は発展し、現在でも町屋や蔵が、数多く残されています。
しかし昭和49年の七夕洪水で、河崎は大打撃を受けました。
川からの荷揚げを優先した結果、川と建物が一体だったことが被害を大きくしたのです。復興にあたっては議論百熱だったそうですが、結局勢田川は改修され、川に面して連なる89戸は立ち退き、現在の堤防が出来ました。
堤防ができたことで、かつての勢田川の景色は一変し、町は次第に活気を失ったようです。
<事務所界隈>
しかし、街並みの美しさは今に残された財産と住民が立ち上がり、「伊勢河崎まちづくり衆」を発足、街並みの保存運動を始めました。今では、蔵や町屋を再生したお店も点在し、地図を片手の観光客も多く見受けられます。
伊勢事務所は、そんな街並みの一画にあります。
この建物も築百年ほどの町屋で、立派な栂(とが)材を使った建築です。伊勢特有の切り妻の外観に刻み囲いをまとい、おはらい町の建物とはちょっと違った重厚感があります。
<我ら伊勢事務所>
かつてはお店だったのでしょう。通り土間の名残に天窓が大きく開けられていたり、彫り物を施した看板の腕木も残っていて、それに小さい事務所の看板を掛けています。間口が狭く奥行きが長い、町屋特有の造りで、隣家と軒を接していることから1階はさすがに日差しが入りません。なるほどこれが町屋かと、当初はこの薄暗さにカルチャーショックを覚えました。
2階には立派な床構えを持った座敷もあり、聞くところによると、伊勢では2階に立派な座敷を作って人をもてなしたようです。
事務所からは道を歩く観光客、午後になると帰宅する小学生、隣接する店に食材を搬入するお兄さん、毎日同じ時刻に散歩に通る老人などなど、ほのぼのした日常の気配に満ちあふれています。
<店の間の応接スペース、奥が仕事場>
仕事中の前田さんの前をちょっと失礼して(このあと「気が散る」と叱られましたが)、入口付近から見た事務所の様子です。
前田さんの後ろにある大きな机で、お施主さんと夢を形にすべく、毎回熱い打ち合わせが繰り広げられています。またその様子を、道行く人が時折さりげなく覗き込んでいきます。
伊勢河崎、歴史漂う街並みがあります。
近くに来られましたら、どうぞ事務所も覗いてみてください。
(かりの)