T邸竣工ー1.(アプローチ)

HPでも先だって紹介したので、既にご覧頂いたかも知れない。
木の家T邸が完成した。
「是非とも木の家を」と話してたTさんも、引き渡しには大いに喜んでくれた。
改めて紹介しよう。

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                   <T邸外観>
以前に建てた、私の設計した建物を見て依頼を頂いたのに端を発する。
20代の彼と家族が住む家である。
「あの感じがとても好きなんです」、その家も木の家だったが、梁を縦横に組んだ架構に特徴があった。恐らくそのことを指したのだろう、会う早々告げられ、早速敷地を見に行った。
その後、基本設計の確定から設計図書の説明に始まり、各所の仕上げや仕様を決めたりと、現場や事務所で幾度も顔を合わせたが、いつも目を輝かせていた。
土地は郊外の新興住宅地にあり、近くに大きな総合病院が建つことからも、これからが期待される場所である。周辺はまだ疎らな状態で、隣家もなく閑散としている。遠くを緑の林が囲み、辺り一帯はレベル差の少ない平坦な造成地で、区画も大きく、南東に向いて道路が取り付く。
矩形に整えられた敷地は、環境や日当たりからも申し分ない。
ただひと目見た印象で、道路に向けて建物を開放したくないなと思った。
周辺が閑散としているのが主な要因だが、独自な空間を作らないと辺りに埋没する危惧を感じていた。

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                  <駐車場からの入口>
Tさんの要望で、車は4台停められるようにと、当初から言われていた。
郊外住宅では、今やこうした要望が当然のように聞かれるようになった。
そこで道路に面して駐車スペースをとり、奥に住まいを囲うことで居住空間を確立しようと目論んだ。道路手前に4台分の駐車場をとり、間に設けた幅のある植裁帯が住空間とを分断する。視線を避ける程に、低い塀も併せて立てた。
格子と壁に集約したファサードは、緩やかに外界とを遮蔽し、その間にアプローチが口を開ける。
2段に葺き下ろした屋根は、水平線を強調するため軒先のエッジを鋭く見せ、上階の軒裏には、折置きに組んだリビングの梁の小口もそのままに、外観を特徴づけている。

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                    <アプローチ>
以前に少し触れたが、設計後に要求された池も無事に図面通り完成し、アプローチ周りを縫うように水路が巡る。庇越しには若いハナミズキとサツキの植込みがアイストップとなって、張り出す濡縁の奥に和室を伺う。
緑と水に囲まれたアプローチとなった。
  (前田)