山口邸完成まで、いよいよカウントダウンです。
バルコニーの手摺も終わり、大工さんも現場を離れました。
それを待っていたかのように、左官・タイル・電気・設備・庭師・・・・・と毎日さまざまな職人さんが大勢出入りしています。
活気溢れる現場も、足場が外されるこの頃になると、日を追って完成に向かっていくのが目に見えて分かります。大工仕事の時は、毎日が一体何の仕事をしているのか、分からない程に遅々とした進捗でしたが、今は見ていて最も面白い時期です。
これら職人の仕事とは別に、設計者が行う『監理』という仕事があります。
さて、どういうものなのか、お分かりにならない方も多いと思います。
設計者は図面を書き、建物を建てる仕事は、大工さん・工務店の仕事。
そう思っている方も、多いのではないでしょうか?
事実、図面だけ書いてあとは丸投げ(?)という設計屋さんも実際います。
ですが、私はそれは設計とは呼べないと思います。
ただの図面書き。
設計者にとって、良く図面が書けていても、せいぜい建物の60%まででしょう。
残り40%は現場での、監理の中で作り上げていくのです。
図面はあくまでも指針となるもの。
当然、設計するときはその図面に、100%の力を出し切ります。
しかし本当に良い建物に仕上げるには、残りの40%を、作り手と施主と設計者が三位一体、三つ巴となって作り上げるものなのです。
また、現場に行くだけが監理ではありません。
中西専務は殊のほか丁寧な人で、『この際、前田の全てを盗んでやろう』と、言わんばかりに、毎日のようにFAXでのやり取りを続けられました。
今までのFAXの厚さ(紙の厚さですよ)、ゆうに4㎝超。
前田さんの朝一番の仕事は、専務のFAXに返答することから始まります。
(実は今、これを書いている途中にも専務からFAXが・・・・・・)
これは、中西専務に限ったことではありません。
毎回異なる現場ごとに、このようなやりとりが繰り広げられます。
もちろんFAXだけでなく、電話や、私の携帯からの取次、メール・・・・。
ほんの数㎜(これはいけない!分、ですね)の、納めの相談からです。
前田さんの返答は、電話では分かりにくいと図入りであったり、写真入りであったり、時には“檄”であったり(笑)、びっしりと綴られています。
普通の方からみれば、
『何て細かなことまでやっているんだろう? 何か意味があるの?』
とまで思われるかもしれません。
しかし、前田さんは設計に注ぐ愛情を、建築に携わる全ての人たちに受け止めてもらいたいと思ってのことであり、一方中西専務は、全神経を集中してその気持ちを受け止め、携わる職人さんたちと共に、力の限りを注ぎ込んで形に仕上げるんだ、と必死に応えている姿なのだと思います。
「ラブレターの交換のよう」と、専務は仰っていたと聞きましたが、まさにこのFAXを見ると熱い気持ちの交換日記みたいなものです。
その気持ちが、きっと形になって現れる山口邸だと思います。
来週にも現地での見学会を行う予定です。
是非、ご覧下さい。
(かりの)
追、見学会の日程は、追ってこのブログでも公開します。
宜しかったら、ご見学下さい。