平成19年3月某日。
待ちに待った上棟式です。朝から天気にも恵まれ、順調に進みます。
実は一週間前から土台を敷き、3日前から建て方を始め、今日に至っているのです。
「普通の家なら一日でここまで建てられるのですがね・・・」
中西専務の言葉通り、胴差や丸太を組んでいく仕事は簡単にはいきません。
当日お昼に現場に行き、夕方まで見守りました。
奥さまの表情も緩み、とても嬉しそうです。
山口さんも正装で自ら威儀を正し、大工さんの仕事を黙々と見守っています。
お二人とも、きっと一生この光景は忘れないでしょうね。
この現場は、若い大工が中西専務の下、墨つけから刻み、加工を経て取り組んだ現場です。
終始緊張した面持ちで取り組んでいました。
応援のベテラン勢が脇を固めつつ、徐々に屋根の容姿が現れ始めました。
私から見ても、全てがきちんとした仕事で納まっています。
若い大工が前田さんを見るなり、弾んだ声で言っていました。
「この建物は仮筋交いを入れなくてもビクともしませんっ!」
なんて気持ちのいい自信でしょうか。
彼の見せてくれた自信と希望に満ちた表情が、上棟という晴れの日においてまた、
頼もしくもあり、嬉しくもあり。
建築に携わり、この道を貫いて良かったと思えたのでした。
さて、建て方を終え夕方から上棟式。
子供さんたちも学校から帰宅し現場に来ました。
家の廻りを駆けながら、出来上がっていく建物を見つめています。
上棟式では御神酒と塩を家の四方にまき、この辺りの風習でお餅も撒きました。
ご家族4人がそれぞれ四方に分担して撒かれる姿は、子供さんにとってもきっと忘れられない日となるに違いありませんね。
最後に山口さんから心温まるご挨拶をいただき、式は無事に終了。
場を移して直会へ。
皆がこの日を寿ぎながら痛飲し、熱く建築を語りあったのでした。
(かりの)