すごいキッチンだわっ

今回は工程報告ではなく、再び山口邸の詳細部分決定の経緯をお知らせします。
平成19年1月某日
この日、山口夫妻とキッチンショールームへ同行しました。
キッチンといえば女性の城、なわけです。
その人、その人でこだわりがある大事な場所。
・・・ということは、それだけになかなか”決めがたいこと”でもあるわけです。
奥さま、例に漏れず、キッチンが決まりません。
何度か打ち合わせのなかで議題に出るものの、具体的な形での結論が出ません・・・・。
「それでは実際に見ながら決めていきましょう!」と、ご一緒することにしました。

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朝一番、キッチンショールームに到着。
奥さま、最初は女性のコーディネーターとどう話を進めていいのか戸惑うご様子も、次第に自分のペースを掴み、15分を過ぎた頃からはご自分の世界へ・・・・・。
時々同席の私どもに話を振るも、それはもう同意への促し、
といった感じで、自ら信じる道へまっしぐらです。
コーディネーターの方によると、すでに何度かご夫妻でいらっしゃっているご様子。
・・・・・奥さま、相手がお顔を覚えるほど来てらっしゃったんですねぇ・・・・・
話が進むにつれ、当初よりかなりスペース的にも予算的にもオーバーすることが予想されます。話の合間、合間にご主人の溜息が洩れ聞こえるんです。
それでも奥さま、時々ご主人への確認とばかりに顔色を伺う様子も見えるのですが、
 『ここは女の城。口出しは野暮、どうぞお好きなように・・・・』 とご主人、
乾いた笑顔と宙をさまよう目で、だんまりを押し通していらっしゃいました。
さて、コーディネーターとのやりとりを聞いておりますと、
    オプションでこれも付けますとさらに使い勝手が・・・・
    あぁ、これは今回新発売の・・・・
などと言われれば、誰だって古いものは注文しませんよね?
それにグレードの高いものと低いものが並んでいれば、否応なしに高いものに目がいくのは
当たり前です。
それが相手の手だと承知していも、まんまとその手に乗ってしまうのが悲しいところ・・・・です。
    ここの引き出しはこれで良いでしょうか、奥さま?
    お鍋はここに仕舞うとスッキリされますよね?
    一升瓶は、ほら、こんなふうに仕舞える棚がついているんですよ。
果てしなくやりとりは続きます。
・・・・そして2時間後。やっと奥さまの希望する形が見えてきました・・・・・。
その場で前田さんがイメージラフを書いて了承。
ご主人の目がホッとしているのが手に取るように分かります。
そしてショールームを出る間際の奥さまのさりげないひと言。
「すごいキッチンだわっ!」 (そうでしょうとも)

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               (↑すごいキッチンです)
最後にひとり、微笑まれていた姿は忘れられません。
こうして女性の城は亭主を余所に作られていくんですね。
(かりの)