西白山台の家<図面納品>

啓蟄も過ぎて、次第に春の陽気が感じられるようになってきた。
何より日射しが春めいてきて、それが肌に伝わってくるのが嬉しい。
それでも、先日盛岡の現場に行ったら凄い雪で、列島も長いものと改めて実感させられた。

画像

                  <実施設計図面>
新年当初に紹介した「西白山台の家」の実施図面が終わり、一昨日施主に説明する期待を得た。年明けから一気呵成に書き進め、月末を待たずに書き終え、持参しようと日程を調整したものの、お互い時間が合わず、先に図面だけお渡ししておいた。
この頃、東北の現場周りに出掛けるとあって時間を取って戴いた。
設計の依頼を受けたのは一昨年の11月で、それから1年をかけて基本設計を煮詰めてきた。設計というものに真摯に向き合ってくれる施主で、まだお若いにもかかわらず、家における勉強を相当してきており、お会いするなりその知識に驚かされた。
ご夫妻で住む木の家をという希望で、細かい要望などは追って紹介するが、目を輝かせて毎回打ち合わせが進んでいった。昨年10月末に基本設計が諒承され、実施設計に望んだ。
実施設計は、実際に作る人に向けての詳細な図面を指すのだが、素人が見て容易に理解できる代物ではない。各種の仕上げや仕様、平面、立面程度は分かるだろうが、その他の木組みや各部屋の展開など、図面を読める人でないとなかなか伝わらないのが通常である。
しかし先日会うなり、かなり詳細に図面を読み込んでいて、私が書きながら細かいところに込めた思いを、すでに理解していた。線の意味や言葉で示す造形の機微など、建築人でも見落とそうというところを、渡した図面に赤で丹念に書き込みをしながら、その意図を読もうとする姿勢に頭が下がった。
またこの間、私の伊勢での仕事もご夫妻で見に行かれたようで、こうした施主にお会いする喜びを感じずにはいられない。微力ながら、完成まで誠意努めていきたいと、心を新たにした。
現在見積中で、金額が決まれば早速に材料の手配に移る。大径木から取りたいので、集めるには時間が掛かるが、乾燥をみながら年末には大工仕事に掛かれるよう、督励していくつもりである。
  (前田)