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菓子潮ざき

菓子潮ざき

和歌山県 南牟婁郡串本町

敷地面積
180.79m2
建築面積
109.56m2
延床面積
193.71m2
構造規模
木造2階建
施 工
株式会社 小寺工務店

本州最南端のJR串本駅を降りると、この建物が正面に建つ。地元和菓子屋の2代目が企図した。

串本は元々漁港で賑わった土地である。いまも町中には立派な屋敷や町家建築が残されており、幼少からそうした風情を見ていたご主人は、店を作るなら町家建築でと決めていたという。伊勢で作る私の建築を度々訪れ、ご覧頂いた上でこのたびの依頼を受けた。

早速、現地を見がてら打ち合わせに赴くと、駅を降り立った瞬間に潮の香りがする。海はすぐ近くだと分かる。要望は、駅前から店に入るのではなく、露地を通ってアプローチしたい、道路側に店を、裏に厨房棟をつくって欲しい、後はお任せしたい、という内容だった。そこで正面は軒を低くした町家として、奥に家業を支える厨房を作り、間に中庭を取って両棟を繋ぐ形とした。

基本設計で確認してすぐに実施設計に掛かり、漸く見積合わせとなった がなかなか業者が決まらない。やはり地の利が堪えたらしい。それでも地元の小寺工務店に決まってからは、順調に現場が進んだ。

露地は石を畳んだアプローチとし、共待をアクセントに、茶の湯を感じさせる繊細さで纏めた。店は架構を現した踏み天井とし、下端に白竹を並べた。菓子のショーケースはご主人のたっての希望で、下部を漆喰塗りとした独特の形となった。2階は倉庫を希望されたが、それでは勿体ないと応接空間として図面を書いたのだが、出来てみると施主も同感され、誰が訪れても対応できる空間となっている。

厨房1階はシステム天井といって、空調と換気が同時に行える最先端の設備を取り入れている。伝統と革新が入り交じった建築で、これも若いご夫妻のこれからの道を示しているのだろう。

菓子潮ざき

前田 伸治
暮らし十職 一級建築士事務所

Shinji Maeda & Kurashijisshoku Archiects Office

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