神奈川県小田原市板橋
景勝地に建つセカンドハウスとして計画された。
南に向かって太平洋を望み、そこから静かな稜線を描く山並みが、遠くの峰々へと繋がる。初めてこの敷地を訪れたとき、それらの景色を一望できるこの土地の魅力に取り憑かれた。
話しをいただいたのが3年前。施主は早くからこの地を求めていたが、その活用に悩んでいた時期に相談があった。すでに子供も巣立ち、夫婦二人の自邸もあることから、セカンドハウスとして計画することとなった。
北側に道路があることから、家の北側を駐車場とし、南面すべてを居室として景色を存分に取り込むこととした。そのためワンルームの間取りとして、浴室などのサニタリーを付属する単純な間取りとなった。
景色を取り込む一方、非日常の楽しみを満喫できるよう、広々としたテラスを設けて芝庭とつなぎ、ウッドデッキを張り出すことで、景観への視覚的なアプローチに寄与させた。
この土地は南北に大きな段差があり、建物を上段に建てることで、より景色を大きく取り込み、下段の土地は、セカンドハウスならではの憩いの場となるよう目論んでいる。
屋根は暖勾配の片流れとして、軒裏を美しく見せるよう杉小幅板を全面に張っている。軒裏の意匠はそのまま室内にも及び、内外一体の空間が包む。下段からアプローチする客の視線には、この軒裏の意匠が建物へと誘ってくれるだろう。
北側の道沿いは両開きの表門を構えた。建物北側は堅牢な意匠との思いからタイル張りの壁とし、屋根とはガラススリットで遊離させ、屋根を浮かせている。
太陽光発電、蓄電池、EV車用の充電設備を備え、開口部には外付けブラインドを設けることで、全面ガラス張りとした室内環境に備えている。