青森県八戸市西白山台
豊かな自然が残る新興住宅地の一画に、若い夫妻の家を依頼された。
外観は住宅らしからぬスタイリッシュな姿を、それでいて、しっかりとした木組みの家にしたい、との要望だった。
敷地は周辺の住宅地の中でも高台に位置し、北側の前面道路には、かなりな傾斜があった。南側には遠方の丘陵地が望め、寒冷地であることを念頭に、周りの静かな環境にも合致させるよう計画に望んだ。
駐車場2台との要望から、停めやすい北東角にそれを充て、道路の傾斜によって敷地の東西で高低差が生じることから、必然的にアプローチには階段を設け、玄関へと導かねばならない。そのため、ここを歩く動線を充分に確保してゆったりと登らせ、訪れる人に、この家に込めた気持ちが伝わるよう濃密なアプローチにしたいと思った。
外観は、大屋根を道路の勾配に、また駐車場の屋根はアプローチを登る勾配に合わせることで、この土地ならではの形を造形化するとともに、自ずと周辺環境にも溶け合うことを目論んだ。
内部は大きなリビングダイニングを中心に、架構を露わしたダイナミックな構成で纏め、階段を象徴的において、空間に躍動感を与えることを狙った。階段下はペット部屋として、リビングにいる家族と常に触れあえ、リビングに接する土間はペットが遊べるよう、また訪ねてきた人がアプローチから直接入れる応接空間としても機能させた。
正面の格子裏は中庭となり、アプローチはもとより、リビングからも季節の花や緑を楽しませてくれる。玄関は高さをもった吹抜として、ここからも中庭の緑を採り入れつつ、駐車場に直接入れる動線も用意している。
ご主人の並々ならぬ建築への深い洞察には、今さらながら感嘆している。初期の計画から一貫したその熱意が、この家を完成に導いた。